市政運営におけるチェック機能の強化と透明性を高めるための取り組みについて( R1. 6)
質問
1点目、市政運営におけるチェック機能の強化に向けた取り組みについて。令和元年5月22日、まち家オフィス「結」の内覧会が催されました。町屋の特性を踏まえ、うまく内装を修繕されていると評価できる反面、段差や通路幅など、バリアフリーの対応が図られていないにも関わらず、トイレには誰もが使用できるとの案内表記が絵文字でなされ、また、建築基準法施行令の規程を満たす階段でないにも関わらず、非居室であることを理由として、2階が使用されていました。そもそも、予算審査時における説明では、コワーキングスペース(フリースペース)は開所時と異なる位置に計画されており、用途変更の手続きは必要とならないものの、都市再生課を当該家屋に移転を決定するにあたって、執行部内における事前の検討がそもそも不十分であったと評価するものです。
また、大津市は公共施設マネジメントの推進に取り組んでいるところですが、これまで執務スペースがあった明日都浜大津のフロアについては、開所時点において、利活用の方針が定まっていません。前向きな姿勢で市街地の活性化に取り組もうとされている職員の皆さんの熱意は高く評価するものの、自治体による日本初の町屋への執務スペースの移転という実績だけがその意匠性とあわせて広くPRされ、先進事例として評価されることに強い違和感を覚えます。内覧会の案内文には、市民・民間事業者と行政との距離を縮め、地域とつながる開かれたオフィスづくりを進めるとともに、まち家オフィスが空き家利活用のモデル事業となり、民間事業者の町家への進出を促していくことを目的とする、また、今回の移転に合わせて、「まち家オフィス」にフリースペースを設置し、職員や利用者同士のアイデアや情報の交換を活発にしていくとの方針が記されています。宿場町構想のもと、ぜひ、そうあってほしいと期待をするものですが、空き家利活用のモデル事業となることを目指すのであれば、特定行政庁である大津市自らが、建築基準法関係諸法令に抵触することなどあってはならいと考えます。
大津市においてはこれまでの間、ケアセンターおおつの民営化移行に向けた検討過程において、敷地条件に対する検討が不十分であったため、方針の変更を余儀なくされたこともありました。これまで何度となく、同様の趣旨で市政運営のあり様について指摘を行ってまいりましたが、課や部の枠組みを超え、執行部一丸となっていただき、より効果的な形で市政運営が推進されるよう、チェック機能のさらなる強化を求めるものです。大津市は「まち家オフィス」の開設に至るまでの政策形成過程をどの様に振り返り、どういった点に問題があったと評価するのか。予算措置に至るまでの査定のあり方など、改善すべき取り組みについて見解を求めます。
2点目、政策形成過程を高めるための取り組みについて。滋賀県においては、情報公開条例に基づき情報提供の推進に関する要綱を制定され、県政の基本的な方針、また、重要施策その他の重要事項についての協議は「県政経営会議」において協議、論議されるとともに、各部門相互の連絡調整を図られています。過日、県政経営会議における協議録の作成に関して問題が認められたとの報道がなされましたが、本市においては、市政の総合的な重要施策、新規事業等について基本方針を審議し、決定すると庁議規程で定められた二役会議そのものが開催されていませんでした。本会議における私からの指摘を踏まえ、大津市は平成31年4月1日付で大津市庁議規程は改定され、二役会議そのものをなくすという形で対応が図られましたが、政策形成過程の透明性を高めるのであれば、文書取扱規程における公文書の保存期間とあわせて見直すべきであり、市長が意思決定するにあたって執行部内で共有された資料やその会議録については、ホームページを活用して、広く市民に公表されるべきと考えます。
庁議規程の改定によって、ニ役会議が担ってきた役割を部長会議が担うこととなりましたが、大津市と同じ中核市である尼崎市においては、市長、副市長、教育長、公営企業管理者、各局長の全20名で構成される「政策推進会議」を設置されています。市政の基本方針及び重要施策について審議し、総合的かつ戦略的に推進することを目的として運営がなされており、会議の開催予定や議論された議題、また、議事録についても公表がなされています。越市政においては、いつ、どの時点でどういった方針が決定したのか、検証しようにもできないといったことが多々ありましたが、市政運営に伴う資料を積極的に市民に開示することは、市政運営の透明性を高めるうえにおいて大変重要であると考えます。行財政改革の推進を図るためにも、大津市版・市政推進会議の設置に向けて取り組まれることを提言するものですが、本市の見解を求めます。
答弁:未来まちづくり部長
1点目の町家オフィスの開設に至るまでの政策形成過程をどのように振り返り、どういった点に問題があったと評価するかについてでありますが、本市においては、中心市街地において宿場町大津の復活を目指し、空き町家の利活用、魅力増進・発信、人材育成を取り組むべきテーマとした宿場町構想を進めています。その具体的な取り組みを進める組織として、地域住民、事業者の皆さんが参加し、大津宿場町構想実行委員会が立ち上げられました。同実行委員会から本市に対し、空き町家の利活用モデルとなるよう、まちづくりを進める都市再生課もまちなかへ移転すべきとの提案があり、移転に向けて検討を進めてきたところです。今回の移転に際しては、民間事業者の町家への進出を促していくだけでなく、市民、民間事業者と行政との距離を縮め、地域とつながる開かれたオフィスづくりや新たにコワーキングスペースを設け、市役所のあり方を変える取り組みを進めることを目的として、町家オフィスを開設したところです。
次に、賃貸料などの予算措置に至るまでの査定のあり方に関して改善すべき取り組みについてでありますが、賃貸料の予算措置については、近傍地の家賃と比較した上で所有者との協議を行い、妥当であると判断しております。また、その他の移転に係る経費については、これまでの実績や関係課の意見を踏まえ、適正に予算措置したところであります。
答弁:政策調整部長
市政運営におけるチェック機能の強化と透明性を高めるための取り組みについてのうち、2点目の政策形成過程の透明性を高めるための取り組みについてでありますが、現在、本市においては庁議規程を設置し、市政の基本方針に係る審議等を行うとともに、各部局間の総合的な調整、効率的な運営を図るため、部長会議及び政策調整会議を開催しております。また、重要施策については、庁内本部員会議や各種審議会等の組織を設置し、方針や計画等の検討を行っております。その中で、審議会等においては会議の公開、議事録の作成なども行っております。
議員お述べの市政推進会議の設置については、現時点では考えておりませんが、本市での重要な政策立案等の方向性や内容は、市民や学識経験者から成る委員会等を設置し、公開の上で外部委員会の意見も聞き、議事録も公開しながら、方針や計画等の推進を図っているところでございます。