登壇

9月10日、下記3項目について質疑・一般質問を行いました。防災拠点施設でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎の整備については、新型コロナウイルス感染防止対策や「新しい生活様式」の実践も考慮しながら、庁舎規模や整備手法などの検討を進める必要があることから、これまでの検討のベースとなった整備パターン(下記4パターン)のみにとらわれることなく、検討していく方針が示されました。今後のスケジュールについては、中消防署の移転新築の進捗状況を見極めた上で、次年度からの中期財政フレームとの整合を図りながら、まずは庁舎整備の基本構想を策定していく必要があるとの考えが示されました。基本構想の策定が早期に実現するよう、今後も指摘・提言を重ねてまいります。
 
大津市バリアフリー基本構想のさらなる推進に向けた取り組みについては、今年度、事業の目標年次(平成23年3月策定)を迎えることを踏まえ、指摘・提言を行いました。
大津市が設置・管理する生活関連施設を対象とした特定事業において、未完了が数多くあるなか、上記基本構想のさらなる推進にどういった方針のもとで取り組んでいくつもりなのか、見解を求めました。

大津市からは、未完了事業があることから、現基本構想を総括できる状況にはないとの考えが示され、当面、必要な手続きを行ったうえ、現基本構想の延長を行い、引き続き、残された特定事業の推進を図っていく考えが示されました。
 
また、次期大津市バリアフリー基本構想の策定に向けた取り組みについても見解を求めましたが、重点地区の拡充については前向きな答弁をえることができませんでした。

現行の重点整備地区において更新する特定事業の事業量も考慮しながら、慎重に判断していきたいとのことでしたが、ターミナル駅である大津京駅や石山駅周辺エリア等においても、計画性をもってバリアフリーに取り組むべきと考えます。
 
リンク:大津市HP 大津市バリアフリー基本構想
 
3項目目、開かれた市政を推進するため、庁議規程に位置付けられた庁内会議の位置づけと情報発信のあり方を見直すことについては、令和元年6月通常会議に引き続いての指摘・提言となります。
庁議の位置づけを見直すことについて言及はありませんでしたが、規程に定められた「部長会議」や「政策調整会議」の会議要旨や資料等については、原則、ホームページで公開されるとの方針が示されました。
 
 
令和2年9月谷祐治 質疑・一般質問(以下、登壇原稿要約)
 
〇防災拠点施設でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎の整備に向けた取り組みについて

 
今期通常会議に提出された補正予算案において、中消防署更新整備に係る移転場所を対象にした用地測量委託費が計上されました。候補とされてきた国有地である別所合同宿舎用地への移転や市役所別館現地建替えでなく、滋賀県が所有するびわこ競艇場駐車場敷地の一部を取得すると説明を受けました。これまで行ってきた質疑一般質問において、候補地に含まれない当該用地の評価が消防局内において最も高いことを公文書の開示請求結果を踏まえて明らかにしてきましたが、平成29年度に公表された4カ所6候補地からこの度の絞り込みに至るまでの経過をあらためて振り返り、市議会が担うべきチェック機能の重要性を再認識した次第です。
 

 
「必要な耐震化が図られていない庁舎の整備を実現するため、中消防署用地の早期選定を求める決議」が全議員賛成のもとで可決されてから3年を迎えようとしています。最終的な絞り込みに至ったことを評価するものですが、この決議はあくまで、必要な耐震化が図られていない庁舎の整備を実現するため、大津市長に対し、早期に中消防署用地を選定することを求めたものです。
 
リンク:必要な耐震化が図られていない庁舎の整備を実現するため、中消防署用地の早期選定を求める決議
 
大津市は平成16年度に庁内組織として、技術部会・若手部会・防災部会の三部会からなる庁舎整備検討委員会を組織して以降、平成17年度には、中堅職員グループによって構成される庁舎整備研究会を立ち上げ、委託により庁舎建設実行可能性調査が行われました。
これらの成果を踏まえ、平成18年度には学識経験者、市民団体の代表者、公募市民によって庁舎のあり方検討委員会が設置されると共に、大津市議会には庁舎整備特別委員会が設置され、庁舎整備に関する諸問題の調査研究が行われてきました。私自身、庁舎のあり方検討委員会で委員を務めたこともあり、大津市議会議員として負託を受けて以降、耐震性の確保に向けて指摘提言を重ねてきましたが、今もって整備の方向性を市民にお示しできていない現状に対し、強い危機感を抱いています。
 
この機会にあらためて申し上げたいのは、本館、別館ともに各階で構造耐震指標が目標値であるIs値0.9を大幅に下回っていることが判明してから16年近くが経過しているということです。
これまでの間、生存空間の確保を目的として、靭性を向上させるための応急的な補強は実施されてきたものの、防災拠点施設でありながら、機能空間を確保するための耐震化は今もって図られていません。
本庁舎の整備がこれ以上、スケジュールも明らかにされないまま、遅延することはあってはならないと考え、以下3点質問を行います。

 

1点目、免震レトロフィット工法による本館の改修について。大津市は庁舎整備を進めるにあたり、本館を免震レトロフィット工法により耐震改修する案と解体する案を比較の対象としています。(参考:公共施設対策特別委員会において示された整備パターンの比較)
 

 
いずれの案も別館については解体を前提としており、それぞれ、新棟を別館跡地もしくは取得した隣接旧国有地を活用して建築する計4案をもって、整備パターンとしています。これまでの間、中消防署の更新整備を行うにあたり、別館現地建替えが候補に含まれていたことから、整備パターンを絞り込むにあたって、大きな不確定要素となっていました。移転用地を確保できなければ、庁舎敷地内における土砂災害警戒区域外において改築を計画するしかなく、「必要な耐震化が図られていない庁舎の整備を実現するため、中消防署用地の早期選定を求める決議」においても、中消防署用地の選定ができていないままで庁舎整備基本方針を策定することは、大規模災害発生時における対応力や庁舎整備基本計画の実現性に影響を及ぼす事態となりかねないとの指摘がなされています。
 
しかしながら、中消防署をびわこ競艇場駐車場敷地に移転させる方針が示されたことに伴い、当該決議で示された懸念は一定解消されたものと判断するものです。大津市はこれまでの間、本館整備検討業務の結果を踏まえ、行政手続の簡素化やICTの進展による庁舎規模の検討、また、公共施設マネジメントの観点等、あらゆる市有施設の活用の可能性など、総合的な検討を行い、整備パターンや庁舎整備規模を決定する必要があるとの見解を示してきましたが、この度の方針決定を契機として、必要な耐震化が図られていない庁舎の整備を実現するため、取り組みを加速させるべきと考えます。(参考:公共施設対策特別委員会において示された庁舎整備検討フロー)
 

 
大津市はこれまでの間、基礎地盤の性質を把握するための調査・解析や基礎杭の健全性を確認するための試掘調査などの免震改修検討業務と本館各階における建築、電気、機械各設備の劣化度を調査するための業務を実施しないと免震レトロフィット工法によって改修するための基本計画や新棟を建築するための基本計画に進めないとの説明を市議会に対して行ってきましたが、質疑一般質問における答弁においては、同工法にて改修することとなれば、必要となる調査検討を進めていくとの方針を示しています。
令和2年2月通常会議において、大津市は本館の歴史的、文化財的な価値をどのように評価した上で、必要となる調査検討に取り組んでいくつもりなのか、見解を求めたところ、日本建築学会が優れた建築物として保全を要望されていることは認識しているが、平成30年度に行った本館整備検討業務の調査結果から、免震レトロフィット改修を行うには多額の経費を要し、本館を取り壊して新棟を整備するのと比べて金額面で大きく有利になるものではないことが判明しているため、市民の理解を得られるよう慎重に検討しなければならないとの考えが示されました。限られた財源を効果的に活用し、耐震性能を有する庁舎を整備することはもちろん重要と認識するものですが、歴史的文化的な価値を有すると評価されている本館を保存・活用すべきか、それとも解体すべきかを検討するにあたっては、経済的な優位性のみで判断できるものではありません。
 
同通常会議において、免震レトロフィット工法によって本庁舎を改修される京都市の取り組みを参考事例として紹介いたしました。
同市は市庁舎整備基本計画の策定に先立ち、本庁舎の歴史的、文化的、建築的位置付け等について評価するため、本庁舎に関する学術調査を実施されており、意匠的特徴や保存の意義を市民に明確にされたうえ、保存・活用する方針を明らかにされています。大津市においても市民理解を得る重要性については認識をされており、アンケート調査を実施する可能性についても議会答弁で言及されていますが、まずは、主体的に近代建築としての価値をあらためて評価したうえで、市民に理解を求めることが重要と考えます。
あらためて申し上げますが、大津市が設置する多くの施設で施工されてきたブレースや耐力壁を設置しての耐震補強工事では、必要とする構造耐震指標を確保し、庁舎として機能させることは極めて困難です。まずはこの事実に対して市民に理解を求め、多額の費用を要する免震レトロフィット工法による改修を行ってでも、歴史的文化的価値の高い建築物として後世に継承すべきか否か、大津市として何を優先するのかを明らかにしたうえで方針を決定する必要があります。
 
大津市は庁舎整備基本計画を策定するにあたり、免震レトロフィット工法による改修を実施するか否かの判断をどの様な取り組みのもとで行っていくつもりなのか。専門家や市民意見を意思決定に反映させるための方針とあわせて見解を求めます。

また、令和元年6月通常会議において、公共施設マネジメントの観点から、狭あい化と老朽化が進む大津市立図書館本館の移転先として検討に含めることを提言いたしましたが、免震レトロフィット工法による改修により、その価値をより多くの市民に実感いただくことを優先するのであれば、世代を超えて多くの市民が利用する用途での複合的な利活用を検討に含めてはとあらためて提言するものです。
中消防署移転用地の絞り込みが実現し、本庁舎の機能として必要な面積をあらためて検討されることになると認識するものですが、佐藤市長は越市長のもと行われてきたこれまでの検討をどの様に評価され、また、見直されたうえ、防災拠点施設でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎の整備に向けた取り組みを加速していかれる考えなのか。庁舎整備基本計画の策定に向けたスケジュール感とあわせて見解を求めます。
 

 
2点目、中消消防署移転用地の絞り込みに伴い、市役所隣接旧国有地が受ける土地利用上の制約について。大津市がびわこ競艇場駐車場用地の一部を取得することによって、駐車台数約130台分が減ずることになります。このことを踏まえ、市有地である市役所隣接旧国有地約3,900㎡、駐車台数にして約80台分をびわこ競艇場の臨時駐車場用地として年に10日程度、滋賀県に貸し出されると説明を受けました。大津市からの要望に伴う対応と評価をしておりますが、当該駐車場として利用される期間は、市役所隣接旧国有地を庁舎整備用地として活用することができません。

びわこ競艇場臨時駐車場用地として、市役所隣接旧国有地が受ける土地利用上の制約はあくまで暫定的なものであり、庁舎整備計画の推進に影響を及ぼすものでないと理解してよいのか。滋賀県との協議経過を踏まえて答弁を求めます。
 
〇大津市バリアフリー基本構想のさらなる推進に向けた取り組みについて
 
1点目、未完了となっている特定事業の早期実施に向けた取り組みについて。「誰もが安全・安心に手をとりあって暮らせるまち 大津」を基本理念とする大津市バリアフリー基本構想は、今年度を事業の目標年次に定めています。高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づき設置されている大津市バリアフリー推進協議会の進捗管理のもと、10年間にわたって、重点地区に定めるJR大津駅・京阪浜大津駅周辺地区及びJR膳所駅・京阪膳所駅周辺地区においてバリアフリー化に向けて取り組まれてきましたが、特定事業として掲げる事業のうち、未完了となっている事業も数多く存在しています。(参考資料:大津市バリアフリー推進協議会で示された重点整備地区における事業進捗の概況及び進捗状況の集計)
 

 

 

 

 
これら事業の中には、大津市が設置・管理する生活関連施設も含まれており、令和元年度末に開催された大津市バリアフリー推進協議会における資料によると、大津市市民会館においては、視覚障害者誘導用ブロックと触知図案内板の設置、中老人福祉センターにおいては、オストメイトへの対応が未完了となっています。進捗状況の集計からもわかるように、この他にも、都市公園特定事業や道路特定事業などにおいて未完了事業が存在しています。

大津市が設置・管理する生活関連施設を対象とした特定事業において、未完了が数多くあるなか、今年度、事業の目標年次を迎えますが、本市は大津市バリアフリー基本構想のさらなる推進にどういった方針のもとで取り組んでいくつもりなのか、見解を求めます。
 

 
2点目、次期大津市バリアフリー基本構想の策定に向けた取り組みについて。大津市においては、公共施設のバリアフリーチェックに取り組むことで、施設ごとの改良点や課題を抽出し、ソフト面での配慮、すなわち、合理的な配慮のあり方についてあわせて検討を行い、その結果を関係課で情報共有し、さらなるバリアフリーの推進につなげる取り組みを進めています。福祉子ども部障害福祉課所管のもと、平成30年度においては、生涯学習センター・北部地域文化センター・和邇文化センターにおいて、令和元年度においては、大津市立図書館(本館)ならびに大津市歴史博物館・市民文化会館を対象にバリアフリーチェックが実施をされました。この取り組みは、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律に基づき設置されている大津市障害者差別解消支援地域協議会の構成団体参加のもとで実施されており、参加者から様々な指摘や合理的配慮に向けた提言がなされるなど、私自身も滋賀県建築士会所属の一級建築士として参加するなかで、バリアフリーの推進に大きな役割を果たしていると実感しています。
 
次期大津市バリアフリー基本構想の策定にあたっては、ユニバーサルデザインを基本としたまちづくりをあらためて基本方針に定めるとともに、重点地区のさらなる拡充のもと、公共施設のバリアフリーチェックに取り組む大津市障害者差別解消支援地域協議会とも連携を図りながら取り組まれるべきと考えます。大津市は今後、どういった方針のもとで改定に取り組まれていくつもりなのか、見解を求めます。
 
〇開かれた市政を推進するため、庁議規程に位置付けられた庁内会議の位置づけと情報発信のあり方を見直すことについて
 
令和元年6月通常会議において、同趣旨の質疑一般質問を行いましたが、新たな市政運営体制のもと、あらためて提言を行います。

平成31年2月通常会議において、私は市政の総合的な重要施策、新規事業等について基本方針を審議し、決定すると大津市庁議規程で定められた「二役会議」が長年に渡って開催されてこなかった事実を明らかにいたしました。当時、大津市は平成31年4月1日付で大津市庁議規程を改定され、二役会議そのものをなくすという形で対応が図られました。現在、同規程に位置付けられた庁内会議は「部長会議」と次長または次長相当職の職員から構成される「政策調整会議」のみとなっています。
 
大阪市においては、市政運営の透明化及び市民に対する説明責任をより一層推進する観点から、規定、要綱等により設置され、構成員に市長、副市長及び局室区長のうちのいずれかが含まれる会議、市としての意思決定に関係する会議や複数の局室区にまたがって連絡調整を行うことを目的とする会議、市民や報道機関の関心が高く、公開の要請が特に高いと思われる会議を原則として報道機関に公開されています。また、公開された庁内会議についてはもちろん、例外的に非公開とされた庁内会議についても、会議開催後、会議資料及び会議要旨をホームページに掲載されることにより、オープン化を図っておられます。
 
リンク:大阪市HP 市政情報の公表(オープン市役所)

また、大津市と同じ中核市である尼崎市においては、市長、副市長、教育長、公営企業管理者、各局長によって構成される「政策推進会議」を設置されています。市政の基本方針及び重要施策について審議し、総合的かつ戦略的に推進することを目的として運営がなされており、会議の開催予定や議論された議題、また、議事録についても公表がなされています。新型コロナウイルス感染症予防の観点から、Web会議で開催されるようになってからも、モニターを通じた傍聴が可能であり、市政運営の透明性を維持向上されようとされる姿勢を大津市は参考にされるべきと考えます。
 
リンク:尼崎市HP 政策推進会議
 
なお、滋賀県においては、情報公開条例に基づき情報提供の推進に関する要綱を制定され、県政の基本的な方針、また、重要施策その他の重要事項についての協議は「県政経営会議」において協議、論議されるとともに、各部門相互の連絡調整を図られています。「部長会議」と「行政戦略会議」を発展的に一本化させた会議体であり、各推進本部や対策本部等との関係についても定義づけが行われています。
 
リンク:滋賀県HP 県政経営会議
 

 
令和元年6月通常会議における大津市からの答弁は、重要施策については、庁内本部員会議や各種審議会等の組織を設置し、方針や計画等の検討を行っており、その中で、審議会等においては会議の公開、議事録の作成なども行っている。本市での重要な政策立案等の方向性や内容は市民や学識経験者から成る委員会等を設置し、公開の上で外部委員会の意見も聞き、議事録も公開しながら、方針や計画等の推進を図っていることであり、庁内協議のさらなる可視化は必要ないと受け取れる内容でした。
 
大津市は総合計画基本構想において「開かれた市政の推進」を施策に掲げ、市民への情報公開と広報・広聴 、市政情報の発信により、市民が必要な情報を適切に入手できるような仕組みが整えられていることを目標とする姿としています。
これまでの市政運営においては、いつ、どの時点でどういった方針が決定したのか、検証しようにもできないといったことが多々ありました。指標とされている年間プレスリリース数を増やすことも大切ですが、より市民に開かれた市政運営を目指すのであれば、庁議規程に位置付けられた庁内会議の位置づけと情報発信のあり方を見直すべきであり、執行部内で共有された資料やその会議録については、他都市の事例も参考にしながらホームページを活用して、広く市民に公表されるべきと考えます。
これらの提言を踏まえ、佐藤市長のもと、大津市はどういった方針のもとで開かれた市政の推進に取り組んでいくつもりなのか、見解を求めます。

 

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