【採決】

 3月21日、平成29年2月通常会議最終日。提出議案について採決が行われました。一般会計予算案については、以下の理由をもって修正予算案を提出いたしました。賛成少数で否決をされましたが、対案を示す姿勢はこれからも貫いてまいります。

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地方自治法第115条の3及び大津市議会会議条例第10条の規定により、議案第1号 平成29年度大津市一般会計予算に対する修正案を提出します。修正内容については、歳出 2総務費 1総務管理費 988,4907千円を987,6035千円及び款 9消防費 1消防費 272,5644千円を272,604万4千円とし、款 13予備費 項 1予備費 1億円を1億8472千円といたします。
なお、詳細につきましては、参考資料をご覧ください。提案理由については、減額、増額ごとに説明いたします。

 【予算の減額】
ますはじめに、コンプライアンス推進室に配置される弁護士については、配置の妥当性に乏しいことから、必要とする予算8289千円を減額し、予備費に計上いたします。弁護士を雇用することの第一の目的は、職員のコンプライアンス意識を向上させることであると認識していますが、不祥事はいまだに相次いでいます。
雇用を継続するのであれば、その効果をあらためて検証すべきであり、主な業務に対する評価を申し述べます。

(1)研修について
講師については、テーマに則した専門家にその都度依頼する、または、外部機関が実施するセミナー等を活用するほうがより高い効果が得られると考えます。

(2)法律相談について
職員からの行政事務に関連する法律相談については、総務部総務課法規係が担当すべきであり、そのうえで判断がつかない課題については、法律を所管する省庁、もしくは、顧問弁護士に相談されるべきと考えます。

(3)各種会議への参加について
弁護士の識見を必要とするのであれば、附属機関を例にあげるまでもなく、委員として選任することは可能です。
また、執行部内における意思決定に弁護士資格を有する職員が関わる効果を否定するものではありませんが、このことをもって、雇用する理由にはならないと考えます。

つぎに、市長の附属機関として設置された大津びわこ競輪場跡地公募提案型貸付事業者選定委員会については、大津市附属機関等の設置及び運営に関する指針に則した委員構成になっていないと判断することから、関連する経費3992千円を減額し、予備費に計上いたします。

平成2810月に「競輪場跡地利活用あり方庁内検討会」が開催された時点においては、市職員の委員数は全委員5名中1名と予定されていましたが、同年11月開催の検討会においては、当該事業については、PFIの要素が強いものの、新たに設置する施設については、どのような施設が整備されるか提案次第であり、かつその提案を選ぶことについては、政策的判断をする余地が多いことなどから、3名にする方針が確認されました。
923日に行われた生活産業常任委員会での説明においても、市民代表の委員も選出する予定が示されていたにも関わらず、平成2811月通常会議においては、外部の委員は学識経験者2名(弁護士・公認会計士)とする形で議案が提出されました。
あらかじめ定められた評価のポイントである、一定規模以上の多目的広場(公園)の整備、地域貢献、周辺地域への一体性の配慮、防災機能の確保は、いずれも地域のまちづくりに多大な影響を及ぼす項目であるにも関わらず、このような人選では、市民やまちづくりに取り組む各種団体の意見は一歩的な「要望」として扱われるのではないかと危惧を抱くものです。

大津市附属機関等の設置及び運営に関する指針は、市の意思形成過程の透明性の向上と公正の確保を図るとともに、市民の市政への参画を一層促進することを目的として、附属機関等の設置及び運営に関し基本的な事項を定めています。
市長の補助機関を構成する市職員をもって、地域住民の意向を踏まえることを前提とするならば、そもそも、執行機関から独立して附属機関を設置することの意義が問われることになります。
これらのことから、志成会及び大津維新の会は、これに伴う予算を減額する修正予算案を11月通常会議において提出いたしましたが、競輪場跡地の利活用にかかる公募提案型貸付事業者選定委員会においては、5人の委員のうち市職員が3人を占め、残り2人のうち1人は市長の出身法律事務所から弁護士が選任され、現在に至っています。 
越市長は自らの選挙公約において、競輪場の民間活用によるスポーツ施設の整備を掲げられました。
平成28年2月通常会議において、その真意を質しましたが、国体を見据えたスポーツの普及、振興、大津らしいスポーツイベントの開催にふさわしい施設となりえるのかについても、この様な形で設置された附属機関では、民意が効果的に反映されるとは思えません。

また、庁舎旧隣接国有地については、滋賀県との協議の結果、土砂災害警戒区域の解除には至らなかったことから、競輪場跡地全体を防災公園に位置付け、その一部に中消防署を移転することを提案しました。現時点において、安全を優先した候補地の選定に至っておらず、仮に適地があったとしても、市有地以外においては、多額の費用負担が必要となります。
既存施設の解体に多額の費用を要すること等から、民間の活力をもって、競輪場跡地の利活用を図るという方針のもとで検討が進められてきましたが、中消防署移転用地の確保は喫緊の課題であり、財政負担の軽減策については、庁舎整備のあり方を踏まえ、総合的に判断されるべきと考えます。いま申し上げたことからも、あらためて立ち止まり、政策の転換をはかるべきと判断するものです。

【予算の増額】
まず始めに、学校体育施設開放事業に対する委託費の減額については、各学区の体育団体を母体とする各学校体育施設開放運営委員会からの理解と協力がなければ実施できないにも関わらず、決定事項として、一方的に減額の方針が伝えられました。
包括外部監査の指摘を踏まえての対応であり、業務量、消耗品発生量に応じた適切な委託料とすることについては賛同するものですが、314日時点における市民部からの説明では、327日にあらためて説明会を実施し、場合によっては、補正予算を計上し、委託料を見直さざるを得ないとの見解が示されました。
予算計上されている委託費での合意が不確定なことから、平成 28 年度における予算執行見込み額を踏まえ、増額修正を行います。

次に、地域防災・防災資機材整備事業費補助ならびに学区自主防災組織事業補助については、地区防災計画の策定・ 実行を各学区に促している最中において、妥当性に乏しい根拠を基に減額すべきでないと判断するものです。
地域における防火・防災体制の充実強化は喫緊の課題であり、過去5年間において効果的に予算が執行されてきた実績を踏まえ、平成 28 年度における予算額、360万円と180万円とするため、20万円ずつ計40万円の増額修正を行います。

以上をもちまして、議案第1号 平成29年度大津市一般会計予算に対する修正案の提案説明といたします。

参考:大津市議会HP 議案の一覧・結果(平成28年度)

また、防災対策特別委員会委員長として、中間報告を行いました。
報告の内容が防災対策の充実に活かされるよう、これからも精一杯努めてまいります。

防災対策特別委員会 中間報告

 当委員会は、防災、危機管理対策に関する諸問題を調査するため、5月の招集会議において設置され、本市業務継続計画(BCP)をはじめとして、昨年4月に発生した熊本地震に伴い熊本県で災害支援業務に従事した職員による報告会の開催、滋賀県危機管理センターの行政視察、地域防災、有事における市民センターのあり方、防災教育にかかる学校への視察など、業務継続計画の実効性を高めることを目的として、さまざまな観点から調査・研究を行い、議論を重ねてまいりました。

平成28年9月通常会議最終日において、当委員会として中間報告をいたしましたが、今年度の調査概要について、改めてご報告いたします。

まず、大津市業務継続計画について報告します。

職員参集予測と非常時優先業務の必要人数に相当な乖離が見受けられることから、今後策定する受援計画とも整合性を図りながら、実効性を高めていく必要があります。
受援対象業務の選定にあたっては、人的・物的支援の受け入れが大津市地域防災計画や地区防災計画に与える影響を十分に検証されたうえで、体制の整備にあたられるべきと考えます。また、熊本地震を教訓として、国においても検討が進められていますが、市と地域とのパイプ役としての活躍が期待される職員OBからも協力が得られるよう、制度の構築に努められるよう申し上げるものです。

6月27日には、当委員会の主催により、熊本県災害対応支援業務報告会を開催いたしました。
本市は業務継続計画の策定にあたって、避難所の円滑な運営、緊急物資の集配、災害廃棄物の処理対応などを課題として認識されていますが、被災地で活動いただいた職員の経験が受援計画に活かされるよう求めます。

なお、滋賀県においては、危機管理センターを整備されるなど、災害発生時における市町との連携体制の強化に取り組まれていますが、大津市役所本庁舎においては、機能空間の確保を目的とした耐震化が今もって図られていません。
市長には市政における最優先課題であることをあらためて認識いただき、本市業務継続計画の実効性をより一層高められるよう求めます。

次に、地域防災について報告します。

本市は平成32年度末までに全学区において地区防災計画が作成されるよう、作成の手引きを策定するなどして、働きかけを行っています。
しかしながら、避難行動要支援者への対応については、個別支援計画の作成にあたって支援者が大幅に不足をしていること、また、名簿を適宜更新する必要性があることなど、地域自主防災会を中心とした自助・共助の取り組みには多くの課題があります。
本市においては、避難行動要支援者への支援体制として、福祉子ども部、健康保険部、総務部、消防局、大津市社会福祉協議会によって、避難行動支援者連絡会議を設置されていますが、それぞれの地域の実情を踏まえ、持続可能な形で個別支援計画の実効性を高められるよう、十分な検討が行われるよう求めるものであります。

 

次に、有事における市民センターのあり方について報告します。

平成28年9月通常会議最終日に、有事における市民センターのあり方検討を対象として、大津市地域防災計画をはじめとする各種計画に及ぼす影響を早期に検証し、議会及び市民に対して報告することを中間報告において求めました。
その後、庁内におけるあり方検討委員会での協議を踏まえ、市として一定の方向性を示されましたが、これまで支所長や次長が中心となって組織されてきた初動支所班の体制については、有事のみならず平時から地域との関係構築が必要不可欠となります。
地域自主防災会等との連携・調整が効果的に図れるよう、業務継続計画や災害時大津市職員行動マニュアルとの整合を踏まえ、体制の見直しに取り組まれるべきと考えます。
また、基幹市民センターの市職員は、同じ地域のブロック防災圏に属する「その他市民センター」の地域防災活動の支援を行うとされていますが、当該職員も初動支所班員であることを前提として、災害発生時に期待される役割を果たすことが出来るのか、その実効性に疑問を感じるものであり、地域防災力の維持向上を図る観点から、平時からの体制整備について適切な人員配置も含め、あらためての検討を求めます。

最後に、防災教育について報告します。

粟津中学校及び平野小学校を対象として、避難訓練の視察を行いました。
地震はいつ発生するか分からないという前提のもと、教職員ならびに児童生徒は緊張感をもって訓練に参加をされていました。
教育委員会と消防局のさらなる連携のもと、児童生徒がより安全に避難できるよう、今後は火災発生時において想定される防火扉等などが作動した状態での訓練実施について検討するとともに、安全確保の観点から、地域との連携のあり方についても検討いただくよう申し上げます。

以上が当委員会の調査概要でありますが、調査の結果、本市の防災、危機管理対策につきまして、あらためて認識した課題も多く、今後策定予定である受援計画を中心として、次年度も引き続き調査研究を進めてまいりますことを申し上げ、当委員会の中間報告といたします。

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