【違和感】
1月5日、京都新聞において、「立候補予定4氏 討論会詳報 動機・市政の評価」という連載記事が掲載されていました。4名の予定者から4年間の市政に対する評価、また、他の予定者の発言に対する反論も掲載されており、興味深く読ませていただきましたが、燃やせるごみの市外搬出に対する市長の回答には違和感を覚えました。
大津市においては、大津クリーンセンター(大石中六丁目)の敷地拡張による南部クリーンセンターの整備が見送られ、ごみ焼却施設の体制を3ヶ所から2ヶ所にする見直しが行われました。
大津クリーンセンターについては、昭和58年12月に操業が開始されて以降、長年にわたって操業の延長が行われてきましたが、平成26年3月に火納め式が行われています。
大津市は当初、同センターの操業停止に伴い、燃やせるごみの市外搬出量を以下の通り想定していました。なお、バクフィルターのケーシング改修工事等に伴い市外搬出された処分量(H25年度:12,253.26t、H26年度9,086.52t)は含まれていません。
H26年度:8,000t
H27年度:4,000t
H28年度:2,000t
H29年度:0t
環境部提供の資料によると、H26年度については、7096.21tと想定した処分量を下回りましたが、H27年度においては、11月末時点において、既に4,000tを超える数量(4336.68t)が市外に搬出されており、年度末においては6,000tになるものと予測されています。
H26年度:7,096t(実績)2億8,790万9,664円
H27年度:6,000t(見込)
H28年度:2,000t?
H29年度:0t??
老朽化が著しい環境美化センター(膳所上別保町)においては、点検などによって操業出来ない日が大幅に増えており、平成27年11月補正予算においては、不具合が生じた誘因送風機用インバーター盤の更新に必要となる予算が措置されています。
ちなみに、平成26年度において市外処理に要した費用は、大津クリーンセンターの操業停止分が2億8,790万9,664円、環境美化センターのバクフィルターケーシング改修工事等による分が3億3,288万3,452円、計6億2,079万3,116円が執行されています。
(H25年度に上記改修工事に伴って執行された4億3,699万7,457円を加えると、市外処理に要した費用は昨年度までで、10億5,779万573円となります。)
新聞記事によると市長は、「ごみ処理施設については、故障で一時ごみを市外に搬出したが今はほとんど出していない」と発言されています。
市長の言われる「ほとんど」がどの程度を意味する言葉なのかは不明ですが、今年度においても11月末の時点で、4336.68tを市外で処理するのに1億7,716万5,962円を要しています。
運搬に要する費用など、市内で処理するよりも割高であり、行財政改革の成果として不確定な金額をことさら強調されることに違和感を覚えます。
詳細な発言内容を知る事は出来ませんが、来年度以降についても、処理能力の低下や老朽化に応じたメンテナンス期間の確保などにより、計画どおり市外搬出量を減らすことが出来ない可能性があります。
本来、家庭ごみは発生する圏域内で処理すべきものであり、伊賀市に理解いただいてこその市外処理であることを忘れてはならないと考えます。
また、平成26年度においては、バクフィルターケーシング改修工事等によって当初見積額を上回る工事実績となりましたが、平成24年度、平成25年度、平成27年度においては、予算の査定時点において大幅な減額が行われています。
補修工事費の平準化を図ることも重要ですが、新施設が整備されるまでの間、老朽化により処理能力が低下している焼却炉を安定して稼働させるためには、相応の保守期間と修繕費用を確保する必要があります。
安全性が確保されてこその稼働率であり、必要な維持管理費については、当初予算において措置されるべきと考えます。
次に、トップセールスによる企業誘致の成果を強調されています。
市長として意欲的に取り組まれたことは評価するものですが、長年に渡る都市基盤の整備や前市政から継続されてきた施策が効果を発揮したことを忘れてはならないと考えます。
そして、最も気になったのが、「職員とのコミュニケーションが不足しているというが、市民にどういった不利益があったのか。ないと考えている。本当に混乱していたら成果は残せなかった。職員の力があっての結果だ。いじめ事件や不祥事が起きたのは私が市長になる前。これまでの市政のうみを出す方向で働いてきた。」という発言。
不利益という言葉に対する評価は人それぞれと考えますが、市長としてなぜ「ない」と言い切れるのか!?
「益」とは、役に立つこと、ためになることを意味する言葉ですが、自己満足に終わることなく、市政運営に対する情熱を一人でも多くの職員に伝播させ、一歩でも半歩でも、さらなる成果を目指して歩を進めるべきでなかったのか。
一見すると、補助機関たる職員を褒めたたえ、コミュニケーションは不足していなかった、この4年間については何ら問題なかったと評価されているようですが、自ら任命された副市長、教育長が任期半ばで辞任されたことを重く受け止めておられないと感じました。
「同僚や部下職員の信頼も厚く、後進の育成にも大変熱心であるとの印象を受けております。そうした茂呂総務部長の人間性や、これまで大津市役所で長年培われてきた実績をもとに、副市長就任後、私の補佐役として活躍いただける人物であると考えております。」
「富田氏は、民間企業における長年の経験に加え、校長として教育現場における組織マネジメントに携わり、その改革に取り組む等、豊富な経験や実績があります。それらの経験及び実績を生かし、いじめ問題をはじめとする問題の解決にあたり、また、市民に開かれた教育委員会と学校の改革に全力で取り組んでいただきたいと考えております。」
上記は両氏を副市長及び教育委員会教育委員に任命するため、議会に同意を得るための議案を議会に提出された際に自ら述べられた発言です。
ご自身が高く評価され、期待された両氏であったにも関わらず、辞職に至られる結果を招いたのは他ならぬ越市長であり、任期を通して活躍いただけなかったことを市民にとって不利益でなかったとされるのであれば、自己の弁護に過ぎないと考えます。
現在、両氏はブログを開設され、越市政を振り返る情報を発信されています。
参考までにご紹介させていただきます。