【登壇】

 12月8日、4項目について質疑一般質問を行いました。長文になりますが、質問内容を掲載させていただきます。

〇ケアセンターおおつの民営化が市民病院の地方独立行政法人移行に与える影響について

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大津市は当初、ケアセンターおおつの民営化を医療法人などに建物を譲渡する形で実現する予定でしたが、高度地区の斜線制限や日影規制によって違法建築物になることが明らかとなったことから、希望する現職員の受け入れを前提として、民間事業者を別敷地に誘致する方針へと転換を図られました。
新たな用地の確保と施設整備が必要となるため、ケアセンターおおつの用途廃止は最短でも平成30年4月以降になると見込まれていますが、大津市民病院が地方独立行政法人への移行を目指す平成29年4月と時期が合わなくなったため、事業承継されるまでの期間においては、密接不可分とは認めがたい状態で運営がなされることになると懸念をするものです。

なぜならば、これまでケアセンターおおつの所長は大津市民病院の院長が兼務されてきましたが、地方独立行政法人に移行された後においては、病院に勤務される医師及び職員は経営に関与されないと説明を受けています。
そもそも、ケアセンターおおつが市民病院の付属施設として開設された時点においては、事務を病院で兼ねるという考え方もあり、一体の建物とみなされてきた経緯があるようですが、現時点において既に異なる状態にあるのは周知の事実です。
また、市民病院に勤務される医師の往診についても、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第16条の定めに基づいて限定的に行われているものであり、必要とされる医療については、原則として、ケアセンターおおつに配置された常勤の医師によって提供されています。
これらのことから、本来の用途は介護老人保健施設であるにも関わらず、建築基準法上は計画通知書に記載された「病院」として取り扱い、ケアセンターおおつを市民病院にとって密接不可分の施設と位置づけ続けることに、強い違和感を覚えるものです。以上のことを踏まえ、以下、8点質問を行います。

1点目、大津市は、ケアセンターおおつの民営化に向けた方針の転換が、市民病院の地方独立行政法人への移行にどの様な影響を及ぼしていると認識されているのか。定款において業務の範囲を明記し、議会に承認を求められるのであれば、これに見合う対応を図られるべきと考え、見解を伺います。

2点目、市民病院が地方独立行政法人に移行した後においても、ケアセンターおおつは同病院にとって密接不可分な施設と判断されているのか。大津市長が両施設の開設者であることを理由にされているのであれば、施設運営の実態を踏まえ、具体的にその根拠をお示しください。

3点目、ケアセンターおおつについては、予算書に固定資産として地価を計上する必要があることから、任意で境界を定めたうえで面積を算出され、市民病院全体の敷地を取得した時点における帳簿価格をもとに、地価の按分が行われてきました。
接道もしておらず、公簿面積に基づき設定された値にすぎないことから、地方独立行政法人への移行に伴い、会計上は、境界確定後の実測面積にて敷地区分を見直す必要がありますが、建築基準法上は同一敷地扱いにならないと矛盾が生じることになります。
大津市民病院においては、ケアセンターおおつが開設されている建物の利活用案として、管理棟や院内保育所などの移転を視野に入れておられますが、平成29年4月に予定される移行時においては、どういった形で定款の別表に資産が計上されることになるのか。

4点目、地方独立行政法人に移行を予定する大津市民病院がケアセンターおおつを運営する可能性について、あらためて伺います。

5点目、大津市は、平成28年2月通常会議に定款の承認を求める議案の提出を予定されていますが、市民病院の敷地については、公簿価格と不動産鑑定価格とのかい離が予測されており、追加出資が必要となることを想定しておかなければなりません。その際には中期財政フレームを見直す必要がありますが、大津市にその考えはあるのでしょうか。

6点目、定款の策定に向けた進捗状況と債務超過と判断される場合に講じられる対応策についても答弁を求めます。

7点目、ケアセンターおおつに代わる民間施設の事業開始時期を、大津市は平成30年4月とされていますが、施設整備や開設準備に必要となる期間を踏まえると、実現可能なものとは思えません。どういった見込みのもとで開始時期を決定されたのか。

8点目、ケアセンターおおつの民営化に向けた検討については、大津市民病院をはじめとする関係部局との連携が不十分であったと考えます。当該事案に限らず、これまでから執行部の知識と経験が意思決定に十分反映されていない事案が見受けられてきましたが、大津市長はこれまでの市政運営をどの様に振り返り、本来はどうあるべきであったと考えておられるのか。

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【コメント】
市長は答弁の中で、関係部局が連携することは重要であるとの見解を示されましたが、建物を譲渡する形で目指したケアセンターおおつの民営化を断念せざるをえなくなったのは、事前の検討が不十分であったからに他なりません。
関係職員による委員会等において協議を行い、意見を出し合う中で検討を続けてきたことを強調されましたが、それではなぜ、ケアセンターおおつの機能を廃止し、民間事業者に整備を委ねる形で大津市高齢者福祉計画・介護保険事業計画の実現を目指すことになったのか!?意思決定過程に問題があったことは明らかです。
必要な検討は立ち止まって行うべきであり、関係法令を遵守することは自治体として当然の責務です。

9月通常会議において、管理棟及び院内保育所の早期耐震化を求めましたが、市民病院敷地内に開設されているケアセンターおおつの廃止は、平成26年6月に策定された「大津市民病院施設整備基本方針」に影響を及ぼす方針の転換であり、同棟の利活用によって耐震化を図ろうとするのであれば、民間法人による介護老人保健施設の整備を待たなければなりません。
用途廃止が実現するまでの間、大津市民病院がケアセンターおおつを運営する可能性については、「様々な課題」と合わせて検討していくと答弁をされましたが、民間施設の開設時期は未確定であり、実現する保証もないなかで、棚上げされることに懸念をするものです。

参考:谷ゆうじ活動レポート 150909

大津市民病院を地方独立行政法人に移行させるためには、定款の議会承認が必要となります。
民営化の方針転換を踏まえ、懸念される事項について質問を行いましたが、「検討を続ける」「検討していく」「検討を進める」といった答弁に終始されたことは、平成28年2月通常会議への提案を目指す姿勢と矛盾すると感じました。

〇隣接国有地を活用した庁舎整備のあり方について

大津市においては、隣接国有地を活用した具体的な庁舎整備の方向性を見出すため、平成27年1月15日から平成27年9月30日にかけて、「隣接国有地を活用した庁舎整備検討支援業務」が実施されました。
当該業務は、平成24年度に有識者や各種団体代表者及び公募委員からなる大津市庁舎整備計画検討委員会から、「庁舎整備については、現在の庁舎敷地の北側に隣接する国有地を取得した上で、本庁舎のうち、耐震基準を満たしていない本館及び別館を建替え、諸課題を合理的に解決することが最適である」との答申を受けたことを踏まえて実施されたものであり、現在、大津市のホームページにおいては、検討結果の概要版が公表されています。

参考:大津市ホームページ 隣接国有地を活用した庁舎整備検討業務の「概要版」について

市民に対して情報を開示し、意見を求める姿勢については評価をするものですが、災害対応拠点として求められる機能を庁舎全体として確保するためには、施工性や経済性など様々な要素を複合的に勘案しなければならず、耐震改修や免振改修に対する妥当性については、大津市が時期を逸することなく、早期に判断すべきと考えることから、以下、3点質問します。

1点目、本館棟及び別館棟を対象とした耐震改修案について。構造耐震判定指標0.6に用途指標1.5を乗じた「Is0.9の耐震改修案」と異なる構造体の区分において採用されるべき用途指標1.25を乗じた「Is0.75の耐震改修案」を比較されていますが、大津市公共施設の耐震化推進要領の趣旨からして馴染まない行為であり、国土交通省が定める「官庁施設の総合耐震計画基準」を否定することになると考えます。
庁舎動線の利便性や建物の美観に与える影響などを踏まえ、どの様な意図でこの様な比較検討を行ったのか。近代建築物としての価値を有する本館棟及び別館棟を対象にした耐震改修案に対する評価と合わせて見解を伺います。

2点目、庁舎整備に必要となる財源確保に向けた方針について。平成26年度末時点における大津市庁舎整備基金の残高は11億8千万であり、隣接国有地を取得する際に活用される事になると認識していますが、必要最小限の面積で新棟を建築した場合においても、庁舎整備全体に要する費用は、現時点で72億7千万から135億6千万と見込まれています。
大津市の行財政運営に大変大きな影響を及ぼす事業であることから、中期財政フレームに必要な財源を位置づけることはもとより、一般財源からの支出を抑制するためにも、事業費の95%に充当でき、将来的には元利償還金の70%が普通交付税で措置される合併特例債の活用を視野に入れるべきと考えます。
現在、大津市においては公共施設マネジメントの観点から、幼稚園をはじめとする施設の統廃合や市民センターなどにおける行政サービスの見直しが進められていますが、その主な目的は維持管理費用の縮減です。
多くの市民や各種団体に理解と協力を求め、行財政改革を推し進めていくのであれば、大津市長自らの政治判断によって、将来に過大な財政負担を残すことがあってはなりません。
平成27年度からの延長期間は5年間であり、平成32年度末までには、対象となる事業費の支払いを完了している必要があると認識していますが、大津市は具体的な整備内容と財源確保に向けた方針をいつまでに決定する考えなのか。庁舎整備に見込むケースごとの全体工期を踏まえて答弁を求めます。

3点目、隣接国有地の取得に向けた取り組みについて。滋賀県では、平成26年度から隣接国有地を含めた本庁舎周辺地域において、土砂災害防止法に基づく基礎調査が実施されており、その結果によっては、土砂災害警戒区域などに指定される可能性があると認識しています。
譲渡契約の締結期限が平成28年10月に定められていることからも、滋賀県に対しては早期の情報開示を求め、庁舎整備に向けた検討に対応策を反映させるべきと考えますが、取得の方針に変わりがないことをあらためて伺います。

【コメント】
具体的な整備内容と財源確保に向けた庁舎整備方針の決定時期については、合併特例債の活用も視野に入れながら、今年度中を目途として、プランの絞り込みを図っていきたいとの見解を示されました。
財政負担の軽減を図るためにも、時期を逸することがあってはならないと考えます。

〇びわこ大津草津景観推進協議会の設置について

平成27年10月10日、「景観づくりチャレンジ隊・大津祭編」に合わせて開催された「びわこ大津草津景観推進協議会」において、連絡調整に限定されてきた同協議会の担任事務を拡充する方針が両市長によって確認されました。
この度、地方自治法の規定に基づき、新たな規約のもとで「びわこ大津草津景観推進協議会」を設置するための議案が両市議会に提出されましたが、平成25年11月に両市長によって調印された「びわこ大津草津景観宣言」の具現化に資するものであり、両市歴代執行部の取り組みに敬意を表するものです。

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協議会の設置目的に掲げられている、両市共同による景観基本計画の策定については、対岸景観の保全、旧東海道沿道の連続性のある景観形成、屋外広告物の統一した規制誘導を図る上において必要な取り組みであり、早期の実現に期待をするものですが、地方自治法252条の2の2に基づく「びわこ大津草津景観推進協議会」を景観法第15条に基づく景観協議会に位置づけることを見据えての提案なのか。
民間団体との連携強化を目指すのであれば、方針を明確にしておくべきと考え、見解を伺います。また、基本計画の策定にあたっては、両市景観審議会に参画を求めることになりますが、意見の調整はどの様な形で図られることになるのか。付属機関を共同設置する必要性と合わせて見解を伺います。

2点目、両市協同デザインによる案内看板の設置について。旧東海道沿道には多くの歴史文化資源が存在しているも、現状においては、来訪者にその魅力や所在を伝える案内看板が不足をしています。
平成27年6月通常会議において、旧東海道のまちづくりに取り組む団体や大学とも連携を図りながら、びわこ大津草津景観推進協議会が主体となって両市共同デザインによる案内看板を設置されることを提言し、過日開催された同協議会においては、今後の取り組み事項として確認がなされました。
大津市は今後、連続性のある景観形成につながる案内看板の設置に向け、どういった方針のもとで取り組んでいく考えなのか、見解を伺います。

【コメント】
両市が連携して景観基本計画を策定し、施策の推進を図っていくためには、市民及び民間団体との連携が大変重要であり、景観法に基づく景観協議会の設置については、市民協働の有効な方策であるとの見解を示されました。
景観法には、複数の景観行政団体による広域的な連携体制に関する事項が明記されておらず、法規定の運用について調査・研究が
必要となりますが、
私自身も出来る働きかけを国に対して行うなど、両市のさらなる連携発展に努めてまいります。

〇市街灯及び防犯灯のLED化促進による財政上の効果について

大津市においては、平成23年度からの10年間をかけて、市街灯及び防犯灯の電球をLEDに交換する事業に取り組んでいます。
平成27年10月31日時点における、市街灯22,199灯及び防犯灯3,434灯のLED化率は、それぞれ41%と32%、合計では39%であり、数値上では計画どおり進捗していると評価できますが、蛍光灯の交換にあたっては、機器に不具合が生じていないとLEDに取り替えられることはありません。
予算の平準化を図る観点からは、1年間に交換するLEDの基数をあらかじめ決めておくことは効果的ではありますが、蛍光灯はLEDに比べて寿命が短く、交換の回数が増える事になります。

平成28年度以降、市街灯及び防犯灯を対象として、交換する電球を全てLEDにした場合における費用の試算を道路管理課に依頼したところ、事業終了年度が2年間前倒しされることによって、約6,750万円の節減効果があることが判明しました。
政府はLED照明の利用を促すため、蛍光灯や白熱灯の生産や輸入の規制を強化し、平成32年度を目途に原則できなくする方針を明らかにしていますが、維持管理費の縮減と温室効果ガスの排出抑制につながると期待されることから、検討されることを提言するものですが、本市の見解を伺います。

【コメント】
LED化の促進は、維持管理費の縮減や温室効果ガスの削減等につながることは認められましたが、事業計画の見直しについて、具体的な答弁をえることが出来ませんでした。
事業の前倒しを図ることによって、平成28年度に見込まれていた予算は一時的に増加することになりますが、財政負担の軽減が図られることは明らかであり、中期財政フレームを策定されていることを踏まえても、前向きに検討されるべきと考えます。

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