【任期最後の質疑・一般質問】
2月24日、任期最後となる質疑・一般質問を行いました。項目の大半は新年度予算案に関係するものであり、政策形成過程を確認する意味を込めて執行部に答弁を求めました。
1.クラウドファンディングの活用について
1点目、市民団体の支援について。新年度、市民団体向けにクラウドファンディングセミナーの開催を予定されています。大津市においては、年間を通じて多くの事業が市民団体の主催によって実施されていますが、補助金の減額などに伴って不足する資金については、協賛金や広告料といった名目での支援によって確保されているのが実情であり、インターネットで不特定多数の方から資金を調達出来るクラウドファンディングに対する関心の高まりを受けてのセミナーであると理解しています。しかしながら、限ら間で必要とする資金を調達することは容易なことではありません。協働によるまちづくりを推進する観点から、大津市が共催や後援をする事業については、クラウドファンディングによる資金調達の情報を広く市民に周知する仕組みを構築し、市民団体の活動を支援してはと考え、本市の見解を伺います。
2点目、資金調達手段としての位置づけについて。観光案内板等整備事業費のうち、比良山道標整備費においては、クラウドファンディングを活用することによって、必要とする予算の一部を調達する方針が示されています。本年度、大津市においてはおおつ光ルくんの製作費を同手段によって調達されることに成功されましたが、資金調達の手段としての位置づけを明確にしないまま、安易に活用すべきではないと考えます。平成26年9月通常会議において今後、どういった方針のもとで資金調達の手段として位置づけていくのかを確認した際、資金調達手段としての有効性や市の活動をPRすることへの貢献度について評価をしていくとの見解を示されたが、活用にあたっての方針をあらためて質問します。
【コメント】:収納の代行を委託することになることから、地方自治法を踏まえた検討が必要となります。新しいことに取り組まれる姿勢については評価をするものですが、庁内における連携を十分に図った上で予算を措置されるべきであったと考えます。資金調達の手段としてどういった位置づけがなされるのか、今後も注視していく必要があります。
2.民間提案型アウトソーシング事業について
民間委託をより一層推進していくため、募集対象とする事業等、提案に係る事業化の可能性の検討について、(仮称)民間提案型アウトソーシング事業審査委員会において調査審議する経費が新年度予算で措置されています。新大津市行政改革プランにおいては、定型型・専門的業務が検討対象になっていますが、人件費や事務効率だけで民営化の是非を判断出来ないものが多く、市民生活に与える影響を踏まえながら議論していく必要があります。現在、策定が進められている大津市民間委託推進ガイドラインが検討の基礎になると理解していますが、どういった方針のもとで議論を進めていく考えなのか、伺います。
【コメント】:民営化に伴う効果とリスクについては、一業務という観点からでなく、政策全般に与える影響を踏まええ検証する必要があることから、再問において、二役会議や部長会議などを経て措置された予算であるかを確認しました。執行部の英知を結集し、市民サービスの向上に取り組まれることに期待をするものです。
3.大津びわこ競輪場跡地活用事業について
新年度予算において、競輪場跡地の利活用を民間活力の導入によって検討する方針が明らかとなりました。競輪場跡地が都市基幹公園として再生されることに期待をするものですが、事業手法についての検討はもちろんのこと、競輪場跡地が有する可能性を最大限発揮させるためには、民間事業者のノウハウと市場性を的確に把握することが重要となってきます。整備に向けたスケジュールを含め、大津市はこれまでどういった検討を行い、競輪場跡地活用基本方針支援業務委託料を措置するに至ったのでしょうか。
【コメント】:早い段階で民間事業者との対話を実施する「サウンディング型市場調査」は公民連携を図る上において有効な手段ではありますが、老朽化した大規模な施設や立地条件などを踏まえると「民間活力」に対する過度な期待は時期尚早であると考えます。周辺のまちづくりに大きな影響を与える事業であることから、方針の決定過程については注視していく必要があります。
4.市民センター機能等のあり方検討事業について
1点目、公民館機能に対する評価について。市民センターに求められている役割や機能をあらためて考察し、今後のあるべき姿を検討するための経費が措置されています。業務量や取り扱っている行政サービスの内容及びその有効性を調査し、将来の市民センター機能のあり方を検討する庁内委員会の作業支援と意見集約などの業務が委託される予定となっていますが、公民館機能のあり方については、地域コミュニティに関わる問題であり、支所機能とは異なる視点での検討が必要となります。(新)大津市行政改革プランによれば、適正な職員定員の管理や経費縮減を期待できる効果としてあげられていますが、市民センターに勤務する職員については、その大半が支所業務と公民館業務を兼務されています。大津市は公民館機能がまちづくりにもたらしている影響をどの様に評価し、市民センター機能のあり方を検討しようとしているのか。平成25年11月に社会教育委員会議からの答申書に基づき、大津市教育委員会がまとめた報告書「大津市の公民館のあり方について」の内容を踏まえた見解を求めます。
2点目、防災拠点としての位置づけについて。市民センターは地域防災の拠点でもあり、災害時においては初動支所班の活動拠点として機能することになります。検討にあたっては、地域防災計画や初動支所班を構成する職員が担う任務との整合を図る必要がありますが、大津市は何を優先して検討を行う考えなのか。
3点目、住民自治の拠点としての取り組みについて。社会教育施設である公民館をコミュニティ施設と位置づけ、地域で活動されている各種団体とのより主体的な連携・協力のもとで管理運営がなされることを期待するのであれば、新たに設立が想定されるまちづくり協議会が住民自治において担う役割などについて検討を重ね、これに伴い必要となる条例を制定しなければならないと考えます。大津市は公共施設適正化計画案において、単独で設置されている公民館や地域内の他施設が有する貸室機能も含め、需要や利用者の利便性、コミュニティの醸成等を鑑み、最適な規模や配置を検討すると定めているが、どういった方針のもとで公民館を住民自治の活動拠点として発展させていくつもりなのか。行政改革の名のもと、面積の削減ありきで検討されることを懸念し、本市の見解を伺います。
【コメント】:市民センター機能のあり方に関わる検討については、大津市総合基本構想で掲げる将来都市像の実現及び次期計画の策定にも大きな影響を与えることから、政策調整を行いながら、市長が先頭に立って検討すべきと考えます。
平成25年11月に社会教育委員会議からの答申書に基づき、大津市教育委員会がまとめた報告書「大津市の公民館のあり方について」は、以下の言葉で締めくくられています。
「地域づくりの単位を変えるということは、各部局の業務においても影響が及び、行政にとっても地域にとっても大転換となる。しかし、それは、大津市としてまちづくりのグランドビジョンを市民に示すことで理解いただき、地域への十分な説明を行う中で、行政が単独で進めるのでなく市民との協働の中で進めていくものである。それこそが、『協働のまちづくり 大津』の姿であろう。」
確かに、市民部が所管する支所の分掌事務については、「その他市長が指示する事項」に地域防災に関わる事務が含まれ、また、「地域の実情の把握及び調査に関すること」に関していえば、具体的に何を意味する事務なのか、不明確なものもあります。
精査が必要であることは理解するものですが、私は、上記の意見に賛同するものであり、行政改革そのものが目的になってはならないと考えます。
5.放課後児童健全育成事業について
児童一人あたりの面積が現時点で国の基準を下回る施設、また保育園の増設に伴い利用人数の増加によって基準を下回ることが懸念される施設については、優先順位を見極めながら計画的に施設整備を進めていく必要があります。夏季休業期間中において、児童数が150名を超える児童クラブについては、地域の自治会館等を借り上げ、分室を設置して保育環境の充実を図る方針が示されていますが、あくまで暫定的な対応と理解しており、抜本的な解決が望まれます。大津市児童クラブ適正化推進計画を策定するなど、基準を下回る狭あいな施設の解消に向け、より具体的な方針を策定すべきでないでしょうか。
【コメント】:具体的な方針について答弁を得るまでに至りませんでしたが、前向きな答弁であったと評価しております。今後も狭あいな施設の環境が改善されるよう、努めてまいります。
6.国際理解推進充実事業費について
1点目、相互理解が不十分であったことについて。昨年度に引き続き、ICTを活用したティーチングメソッド研究開発費が計上されています。昨年度は2343万6千円の予算が計上をされましたが、実際に執行された額は154万1千円であり、市長と教育委員会との相互理解が十分に図られないまま、積算根拠の不明確な予算が措置されたことが招いた結果であると評価しています。大津市長は執行の結果をどの様に受け止め、今年度の予算編成に臨まれたのか。
2点目、1年生からの取り組み理由について。平成27年度においては、DVDやデジタル教材を用いてモデル事業を実施している3社から選定を行い、小学校5校をモデル校とした実践研究開発が予定されています。平成28年度から29年度にかけては全校を対象に実施される方針が明らかにされていますが、英語教育が必須科目となるのは小学3年生からです。なぜ大津市は小学校1年生から英語教育に取り組むのか、その意義を伺います。
3点目、ALT(外国語指導助手)の資質確認について。ALTについては、委託事業者から派遣により配置がなされていますが、児童や生徒のコミュニケーション能力を育成するためには、講師として十分な資質が求められます。授業内容に対する評価や英語教育に関する実績など、大津市はどういった形でALTに求める資質の確認を行っているのか、伺います。
【コメント】:登壇するにあたり、あらためて昨年の議論を振り返りました。平成26年度予算における、ICTを活用したティーチングメソッド研究開発費については、市長が英語を習っていた知人から紹介を受けた事業者からの見積(インターネットを通じて通話できるシステム)が積算根拠となっています。研究開発費の大半が未執行となったのは、教育委員会との相互理解が図られないまま、予算が措置されたことが原因であり、市長にあらためて反省を求めました。
7.中学校給食の実施に向けた取り組みについて
1点目、実施に向けて必要となる敷地面積、調理場建設費用の推計について。平成26年12月にまとめられた「大津市中学校昼食のあり方検討調査」においては、東部に小学校15校分、中学校8校分、合わせて18,000食を調理する大規模な学校給食共同調理場を統合整備する場合と東部に小学校9校分・8,000食、北部と南部にそれぞれ中学校10校分・5,000食、中学校8校分・5,000食を調理する共同調理場を個別整備する場合における整備費用の比較検討がなされています。その結果、整備費用については、調理規模18,000食の大規模な調理場を統合整備する方が経済的に有利であり、スケールメリットが発揮されるとの結論が導き出されているが、なぜ、必要となる敷地面積及び調理場建設費用の推計に回帰分析の手法を用いられたのか。
2点目、整備方式について。通常、施設整備において建設費用を概算で算定する場合には、必要と判断される延床面積に想定する平米単価を乗じるのが一般的ですが、この度の検討においては、横軸を提供食数、縦軸を建設費用とし、全国24都市の結果を座標にプロットされ、センター建設費用=0.2032×提供食数+1億4872万という数式が導き出されています。そもそも、提供食数の比較は最少800食から最大10,000食の間で行われており、18,000食はこの範囲を大きく超えている事からも、建設費用の算出方法として相応しくないと考えます。また、建築敷地についても同様の手法で必要面積が導き出されていますが、大津市が取得を目指す事業用地というのは、必要とする面積よりも広大な敷地となっています。検討の段階において特定の事業用地を想定していなかったとしても、必要とする面積だけを分割して取得することが地権者の意向、また接道条件をクリアする上において可能なものであるのか、慎重に判断する必要があります。個別整備方式における土地取得費や調理場建設費用についても同様の課題があることからも、私は、中学校給食を実施するのであれば、整備方式についてあらためて検討を行うべきと考えますが、大津市にその考えはあるのでしょうか。
3点目、学校運営上の課題及び問題点などについて。大津市中学校昼食のあり方検討調査において明らかとなった学校運営上の課題及び問題点などについて、その解決に必要となる検討を教育委員会はどういった方針のもとで行っていく考えなのか。
4点目、大津市は平成30年度中の給食実施を目指す方針を明らかにされていますが、用地測量や設計業務に必要となる期間、また大規模な統合方式で施設を整備するのであれば、造成工事を含めて相当な期間を要することになります。また、都市計画法における開発許可申請や公図訂正が必要となった場合には、法的な手続きに一層の時間を要することになりますが、どういった検討を行った上で中学校給食の実施時期を決定されたのか。民間事業者の事業参入意欲に大きな影響を与えることから、想定された前提のもとでの具体的なタイムスケジュールを伺います。
【コメント】:建設費用の妥当性については、見解の相違であるとの趣旨で答弁がなされました。中学校給食の実施には賛成の立場ですが、事業用地に対する調査が不十分であり、事業開始時期についても、関係法令や条例などを踏まえた上、改めて検討されるべきと考えます。大津市には優秀かつ経験豊かな技術職員が多くおられますので、事業の推進にあたっては結論ありきではなく、最善を見出す姿勢で臨んでいただきたいと期待するものです。
8.土地利用の調整に係る仕組みづくりについて
1点目、これまでの取り組みについて。土地利用の調整に係る仕組みづくりについては、庁内関係各課において個別条例等の整理や土地利用問題協議会の位置づけなどを重点項目として、平成29年度から取り組みが始まる次期都市計画マスタープランの策定を見据えて検討が進められてきたところです。新年度予算において、土地利用に関する手引き及び周知資料検討業務委託料が措置されているが、どういった目的で必要となる予算なのか。これまで行われてきた検討の結果をふまえて答弁を求めます。
2点目、コンパクトシティ実現に向けた取り組みについて。次期大津市都市計画マスタープランに掲げるまちづくりを実現するためには、土地利用の調整に係る仕組みづくりが必要不可欠となります。大津市は今後、どういった方針のもとで地域別構想の実現を図るための手法を検討し、コンパクトシティの実現に努めていく考えなのか、見解を伺います。
【コメント】:土地利用のあり方については、庁内関係課の職員によって検討が重ねられてきました。その成果を今後のまちづくりに活かしていただきたいと願うものです。
なお、JR大津駅リニューアル支援について質問を予定していましたが、直前に持ち時間がなくなってしまいました。
関心をもってライブ中継をご覧をくださっていた皆様、申し訳ございませんでした。
予定していた質問については、所管する予算決算常任委員会施設分科会に所属される清正会・山本幹事長にあらためて行っていただくことになりました。
答弁内容については、後日あらためて報告をさせていただきます。