【美哉山河(うるわしきかなさんが)】
2月6日、京都市下水道局水道部に所属される職員さんのご案内にて、第1疏水と第2疏水が合流する第3トンネル西口付近を視察させていただく。かねてより熱望していた機会であり、大津市観光振興課の調査に同行させていただく形で実現しました。
琵琶湖疏水クルーズ(仮称)検討プロジェクトチーム及び琵琶湖疏水船下り実行委員会における議事録を読み直し、視察に臨みました。
旧九条山浄水場(御所防火用水道)ポンプ室は、琵琶湖から流れてくる水を防火用水として京都御所へ送るために整備された施設であり、片山東熊(かたやま とうくま)氏が設計をされています。
この方は明治期を代表する大変有名な建築家であり、工部大学校(東京大学工学部の前身)にてジョサイア・コンドル氏に学ばれ、 国宝に指定されている迎賓館赤坂離宮の設計者としても知られています。
大学生の頃、建築史で学んだ偉人の作品であり、風格ある意匠に目をうばわれました。
将来、別の用途で利活用が図られる時が来るならば、その際はぜひ、内部を見学できればと願っております。
ちなみに、第三トンネルに面している側が建物正面となっています。
第3トンネル西口には、「なんと美しい山河であろう」という意味を表す「美哉山河(うるわしきかなさんが)」と書かれた扁額(揮毫者は三條實美公)が掲げられれいます。
120年近く前に完成したとは思えない美しさであり、近代化産業遺産である琵琶湖疏水の魅力を再認識いたしました。
北国橋付近に所在する疏水事務所大津分所においては、閘門の構造と役割について理解を深めました。
琵琶湖から疏水への流量を適切に管理するため、船の運航にあたっては2枚の閘門を開閉(トンネル側の閘門が開くのは、琵琶湖側の閘門が閉まった後)することになりますが、作業は手動(3人体制)で行われています。
閘門より琵琶湖側から出発するとした場合、どういった検討が必要となるのか、今後も調査を継続してまいります。