まちづくり協議会がコミュニティセンターの運営を担う上での課題について( H30. 6)
質問
平成30年6月15日号の広報おおつにて、「これからの市民センターについていっしょに考えませんか」と題した特集記事が掲載されることになりました。住民自治の確立された魅力あるまちづくりと持続可能で、住み続けたいまち大津の実現に向け、市民センターのあり方について検討を行っているとの説明がなされていますが、大津市は市民から素案の見直しを求める主旨で提出された要望書の受け取りを拒否しました。憲法に定められた請願権に抵触する行為と判断するものであり、大津市政への信頼を根幹から揺るがす行為であったと考えます。大津市長はなぜ、このような対応をとられ、自らの判断が招いた事態をどのように受け止めておられるのか。市民からの要望書を提出された時点で受け取らなかったことが、地方自治体として適切な対応と判断されるだけの理由が存在したのであれば、あわせて答弁を求めます。
そもそも、市民センターのあり方についての検討は、各学区に設立されることを想定するまちづくり協議会が指定管理者としてコミュニティセンターの運営を担うことを前提に行われています。取り組みを持続可能なものとするためには、地域住民との相互理解が必要不可欠となりますが、それ以前の問題として、防災拠点のあり方については、全庁的な検討が不十分であると評価するものです。
現在、支所職員が担っている防災上の役割については、その多くをまちづくり協議会の役割と位置付けることが案として示されています。大津市は協定書の締結にあたって、事業計画書の提出を求めることになりますが、いつ発生するか分からない災害を想定し、必要と見込む人員の算定するのは不可能であり、罹災証明の発行など災害発生に伴う業務については、コミュニティセンターの運営を担う住民自身も被災者となることを想定し、対応を検討していく必要があります。
施設管理者が担う防災関連業務を決定するにあたっては、自発的な防災活動を前提とする地区防災計画に及ぼす影響について、各地域自主防災会と検証を重ねるとともに、平常時におけるモニタリングのあり方やコミュニティセンターが36施設あることを踏まえ、指定管理料を算出するにあたっての課題などについても留意する必要があります。大津市はこれらの課題をどのように認識し、支所職員が担ってきた防災関連業務をまちづくり協議会に委ねようとされているのか、見解を求めます。
また、行政機関共有用災害時要援護者名簿の保管とあわせ、災害時においては、避難行動要支援者及び避難支援者への避難準備情報等の伝達、及び要配慮者支援に関する避難所管理上の調整についても、施設管理者が担うことが案として示されています。ネットワーク台帳の整理や名寄せによる重複対象者の整理を行われた結果、サンプルデータによる施行において、約11,000人に集約されたと認識していますが、より効果が期待できるものとするためには、あらためてシステムを構築しなおす必要があると認識しています。今後、大津市はどのような方針のもとで更新を図っていく考えなのか。
答弁:市長
まちづくり協議会がコミュニティセンターの運営を担う上での課題についてのうち、市政への信頼に及ぼす影響についてでありますが、市民センターのあり方については、従前から、大津市自治連合会としてまとまって対応されるため、個別の署名を受け取ることは避けて欲しいとお聞きしておりました。
このような状況で、その場ですぐに署名を受け取ることは、大津市自治連合会の組織や、まとまって対応されるという方針に混乱を生じさせる恐れがあると考え、当日も大津市自治連合会に確認し、同様のお答えであったことから、調整に時間を要すると判断し、その場での署名の受取を控える対応をいたしました。
しかしながら、署名の受取を拒否したと取られても仕方がない対応であったと考えましたことから、それぞれの学区自治連合会長にお詫びいたしました。
答弁:総務部長
2点目の設管理者が担う防災関連業務のあり方についてでありますが、議員お述べのとおり、地域における防災関連業務のうち、まちづくり協議会に委ねる業務の決定にあたっては、議員ご指摘の点も含めて、その課題に十分留意する必要があると認識しております。
そして、その内容につきましては、今後、市民センター機能等の在り方検討委員会での協議や、実施が予定されている市民意見交換会での意見等を踏まえながら、まちづくり協議会が真に担うことができる業務を法的根拠も含めて明確にしたうえで、より良い案へまとめて参りたいと考えております。
答弁:福祉子ども部長
3点目の行政機関共有用災害時要援護者名簿のシステム再構築についてでありますが、行政機関共有用災害時要援護者名簿は、福祉政策課において、関係課のデータを集約し作成しておりますが、同名簿の作成を行っているシステムが、保守期間の経過により、平成32年度にシステム移行を行う必要が生じております。
このことから、この移行時期に合わせて名寄せ等の名簿の作成が可能となるように、必要なシステムの改修も含めて、関係課と協議を行っており、今後は移行したシステムによる管理のもと、名簿更新を行ってまいります。
再質問
請願法については、既に確認をされていると思いますし、市長は弁護士でおられることから、ご存じであると考えます。請願法第5条には、この法律に適合する請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならないとあります。
大津市自治連合会の内部における方針に影響を及ぼしてはならないと思慮されたということですが、特定の団体の意向が、地方自治体が市民の署名、請願を受け取るにあたって、拒否する理由になり得るのかと理解し難い思いです。
また、昨日の答弁で市長は「受け取らないこと、受理しないことが確定的でなければ法令には違法しない」と答弁されましたので、事前に総務部に確認をして、市長が答弁された判例を確認いたしました。平成14年10月31日/東京高等裁判所/平成14年(行コ)158号、この判例に基づいて市長は昨日答弁されました。限られた時間ではありましたが、裁判の内容について確認をいたしました。判例には、確かに、確定的にその受理自体を拒むことはとの表現はありますが、そもそも、事案の前提が全く違います。にもかかわらず、裁判官のおっしゃった「確定的にその受理自体を拒むことは」との言葉だけを引用されて昨日答弁されたと感じました。
そうでないのであれば、もう少しこの判例を踏まえて、どういう意図、趣旨で答弁されたのか、先ほど申し上げた、そもそも、誠実に処理されたと認識できるのか、このことについても、請願法に基づいてあらためて確認をさせていただきます。
答弁:市長
まず1点目は、昨日も答弁しましたとおり、判例としては、確定的に拒否したということが述べられているけれども、事案の前提が異なるのではないかということであります。事案としては、本件とは当然異なる事案であります。ただ、今申し上げましたような、請願を受けた官公署が確定的にその受理自体を拒むというところは、一定の抽象的な規範として提示されているというふうに考え、昨日はそのように、あくまでも参考ですけれどもお答えをいたしました。
そして、2点目の請願法に定められている、誠実に処理しなければならないというところですけれども、これは受理した後に誠実に処理しなければならないと考えています。当然、今後、署名を受けとった場合には、誠実に処理してまいります。