子どもたちの将来を支援するための図書館運営について( H27. 8)
質 問 |
平成27年7月に視察を行った伊万里市民図書館においては、市民団体との協働が図書館運営の基盤となっており、開設時に目標として掲げられた「伊万里をつくり市民とともに育つ市民の図書館」の実現に使命感を持って取り組んでおられました。また、市民からの期待に応えるため、幼い子らには命を育む絵本を、成長期の子どもには心の糧となる本を、学ぶ若者には知識欲を満足させる本を、社会人には生活や仕事に役立つ本を、お年寄りには豊かな人生を振り返る本をと、ライフステージごとのサービス目標を明確にされており、これらが企画展示やレファレンス機能の充実に色濃く反映されていました。
図書館運営に携わる人材が前向きな姿勢で業務に取り組める環境を整備することは、市長及び教育委員会に課せられた重要な役割です。業務の効率化を優先する余り、図書館が持つ可能性が損なわれてはならないとの考えを新たにしたところです。
大津市立図書館においては、指定管理者制度の導入も含めて今後のあり方を検討されてきましたが、制度導入はなじまないとされる大津市図書館協議会からの答申や、パブリックコメントを踏まえ、平成27年7月23日に一定の結論を大津市教育委員会に伝えられていますが、どのような趣旨の内容であったのか。
また、図書館とは地域のコミュニティの核となり得る施設ですが、運営方針については次世代のまちづくりを見据えて決定する必要があります。大津市教育委員会は大津市立図書館からの意見をどのように評価されているのでしょうか。
平成27年6月通常会議、図書館行政を発展させていくに当たって、設置者である自治体が担う役割をどのように認識されているのかという私からの質問に対し、教育委員会委員長からは、子どもたちの将来を支援することは図書館の役割であり、知的好奇心を駆り立て、子どもたちが自ら本に接する環境を充実させていきたいという趣旨で見解を示されました。私自身大いに賛同するものです。
伊万里市においては、子どもを対象とした事業は「こども読書のまち・いまり」宣言に基づき実施されており、赤ちゃんに愛情を伝えるブックスタート事業、幼児に絵本に親しませる読み語り、子どもに読書の喜びを味わわせる朝読、家族で親子の会話ときずなを深める家読に取り組まれています。宣言文には、子どもの視点で「私たち子どもは想像力という翼を持ち、希望に満ちた夢を胸に未来を切り開いていく原動力です。読書は私たち子どもに豊かな想像力と思いやりの心を、そしてみずみずしい感性を育ててくれます」という言葉が記されており、深く感銘を受けたところです。
大津市においても参考にすべき理念と考えますが、大津市立図書館が子どもたちの将来を支援するに当たり、大津市教育委員会はどういった機会、どういった環境の充実を図るべきと考えておられるのか、現在までの取り組みと今後の展望について、協働の観点から答弁を求めます。
答弁:教育長 |
大津市図書館協議会からの答申について、図書館から教育委員会に伝えられた内容についてでありますが、図書館では教育委員会での検討に際し、この答申に加えて他都市での指定管理や業務委託の導入状況や司書を含む図書館職員の意見聴取など、新たな調査を行い報告したものであります。
次に、図書館からの意見に対する評価についてでありますが、教育委員会において図書館のあり方を議論するための検討資料として、先の答申を補足するものと認識しております。
次に、子どもたちの将来の支援についてでありますが、本市では大津市子ども読書活動推進計画を策定し「楽しく読書ができる環境づくりを進め、本が大好きな大津っ子を育みます」を基本目標とし、家庭、学校園や公民館など、それぞれの場における読書活動の取り組みを定めており、図書館においては児童図書の充実や読み聞かせ事業の展開、また、学校園との連携などに取り組むこととしております。そのため、図書館ではこれまでも児童サービスに重点を置くことを基本に、幼児、児童を対象とした絵本の読み聞かせやパネルシアター等の事業を読書ボランティア団体と連携、協力し、協働で開催してきたところであります。
さらに、今年度図書館において読み聞かせボランティア講座を計画しており、市民の皆さんに子どもが本に接することの大切さなど意義を学んでいただき、受講後はその成果を図書館事業で生かして、読み聞かせの機会の充実を図ってまいりたいと考えております。
今後も、子どもたちの健やかな成長の支援に向け、引き続きボランティア団体との連携事業や学校園への団体貸し出しの充実を図ることにより、子どもたちの本に接する機会の充実に努めてまいりたいと考えております。
再 問 |
大津市立図書館が子どもたちの将来を支援するに当たり、大津市教育委員会はどういった機会、どういった環境の充実を図るべきかという問いに対して、この点につきましては前向きな答弁であったというふうに評価をさせていただいております。児童サービスの充実、さらに努めていただきたいと期待をするものです。
その上で、初問の質問に対して再問をさせていただきます。大津市立図書館をどういった形で運営をするか、そのことによって、今申していただいた児童サービスの充実も影響を受けることになります。ですので、私、伊万里市の事例を紹介させていただきました。
教育委員会としてどうしていきたいという考えが、前回もそうだったのですが、まだ伝わってこないのです。大津市はまちづくりの基本姿勢を三者協働と定めていることは今さら申し上げるまでもないのですが、何を優先するかによって図書館運営のあり方も変わりますし、まちづくりにおける生かし方も変わってくると思います。その点をしっかり念頭に置いて、大津市立図書館からの意見を踏まえて教育委員会内で議論をいただかないと、図書館協議会が答申をいただいた内容を、私はしっかり評価できないというふうに考えます。
改めて伺いますが、その点どのように考えておられますか。
答弁:教育長 |
今議員のほうからお述べいただきましたとおり、伊万里市の例を挙げていただきましたけれども、本当にこういったしっかりとそれぞれの世代に応じた図書の提供というのは大変重要だと私も考えております。図書館運営協議会からの答申を受けまして、まだ図書館からの報告を受けたばかりで、教育委員会の中ではまだ十分な議論ができておりません。先ほど議員が言っていただいたとおり、さまざまな視点についてこれから考えていかなければならないと思います。
ただ一つ言えることは、やはり市民の皆さんが持っていらっしゃる読書要求に対してきちんと応えていける図書館、そして皆様が、より多くの方が利用していただき、また一度利用して何度も利用したいなと思えるような図書館を目指したいと思っておりますので、このあたりは今、谷議員からいただいたいろんな御意見も参考にしながら教育委員会でしっかりと議論をしていきたいと思います。とりわけ児童書のことも言っていただいていますように、子どもたち、前回委員長のほうからも答弁しましたように、子どもたちのそういう知的要求を駆り立てるような蔵書の充実とか、あるいは読書機会の創出、そういったところに取り組んではいきたいと思います。
今後しっかり教育委員会の中で議論をした上で、ある程度結論を出していきたいというふうに考えております。