地区計画について( H19. 9)
質 問 |
行政視察で訪れた渋谷区では「渋谷区まちづくり条例」を制定され、協働型のまちづくりと調和のとれた良好な住環境の形成を推進されていた。地域におけるまちづくりのきっかけとなることを期待した「わがまちルール」の登録制度をはじめ、まちづくり協議会の認定制度、まちづくりの専門家の派遣、都市計画の決定または変更の提案、地区計画の案等の申し出などを条例で明確に定められ、住民にとって大変わかりやすいものであった。その背景には、商業地域と第1種低層住居専用地域が隣接している地域があり、計画によっては住環境を阻害しかねない、また高層建築物、特に総合設計制度適用に関して紛争が絶えないという現状があった。
大津市の場合、商業系用途地域で地区計画による高さの規制がなされている地区は現在4地区で、松が丘西地区20m、青山地区25m、比叡山坂本駅前周辺地区31m、浜町地区60mとなっている。普段から「この町はこういった町にしよう」という地元合意があり、地区計画という形で都市計画決定されていれば、「ここにそういうものは建てられません」と事業者に言うことができるが、事前周知の段階で「反対だ」と言っても、「法律の範囲内で建築しているのに一体何が悪いのだ」という話になってしまい、議論は平行線をたどるだけになる。また、商業地において商店の集積を保つことを目的とし、マンションを建設する際、「1階部分は店舗にしてください」というルールを地区計画の中で定めることや、建築協定や景観協定において、さまざまな行為を制限することも可能であるが、なぜそれら計画や協定が地域で積極的に推進されないのか。手続が複雑で多岐にわたり、権利や資産価値に大きく影響することなどが理由に挙げられるが、初めのきっかけの部分、すなわち動機づけの部分に問題があるように思う。
住民発意でこれらに取り組んでいこうとする場合、そのハードルは非常に高く、仮に行政から人的、制度的な支援があったとしても、その作業は困難を極める。現在決定されている地区計画においても、大半は新規宅地によるものであり、土地の権利者が複数おられる広範囲の規成市街地において制度を活用することは、並大抵のことではない。
そんな中、堅田や坂本において促進されている景観形成の取り組みを、わがまちルールの制定と合わせて高く評価しており、今ある資源を保全、活用しながら、特色あるまちづくりを目指していく姿勢を全市的に広めていくことで「結の湖都大津」は実現すると私は考える。住民発意のまちづくりに行政はどのように関わるべきなのか、また担うべき役割は何であるのか、長期間にわたる作業をしっかりと検証し、制度化していくことが大切であると考え、次の質問をします。
大津市都市計画マスタープランに、「市民や事業者がまちづくり活動を積極的、継続的に実施できるよう、まちづくりに関する総合的な支援体制の確立に努める」とあるが、支援体制とは具体的に何を意味されてのことなのか。先に述べた堅田と坂本の事例を交えて見解を伺う。また、中心市街地を活性化させるにあたり、たとえわずかな距離、わずかな範囲でもいいので、住民発意による地区計画などの成功例をつくっていくことが大切だと考えるが、現在、策定中の活性化案はどのようになっているのか。
答弁:都市計画部長 |
市民が主役となったまちづくりを側面から支援することが重要であると考えており、その具体的な支援策として、ワークショップの開催、出前講座の実施、または専門家の派遣及びまちづくりに関する資料の提供などを行い、堅田地区と坂本地区における行政の関わりについては、地域の特色ある景観形成の実現を目指した地元の協議会に職員も積極的に参加し、その方策の提案や、その手順についての助言等の支援を行っている。
また、中心市街地での住民発意による地区計画策定は、住民全員の合意など、大変難しい問題も数多くある。しかしながら、大津百町にふさわしいまちなみ形成や、町家を生かしたまちづくりを進めるため、昨年より中心市街地の住民と話し合いを続けてきた。現在は、京町通りの一定の範囲で、まずファサードの統一や看板のデザインなど、まちなみルールが結べるよう、地元の皆様と協議をしているところでもある。なお、京町通りでのまちなみルールがまとまれば、現在、策定中の中心市街地活性化基本計画にも位置づけ、支援策等を検討していきたいと考えている。
いずれにしても、まちづくりのさまざまな手法や規制、誘導は、住民の皆様や事業者と行政が、地道にかつ粘り強く取り組むことが最も重要だと考えており、今後とも、なお一層の御理解、御支援をお願いしたい。