競輪事業を廃止した場合の影響について( H21. 2)
質 問 |
平成16年度以降、連続の赤字決算の続いている大津びわこ競輪については、昨年の11月、大津市競輪事業経営安定化検討委員会が大津市競輪事業収支改善計画を策定した。
平成19年度6月の自転車競技法の改正により創設された特定活性化事業の最終年度である平成23年度以降を見据え、当競輪場への誘客対策の実施に努め、車券売上額の増加や場外販売受託日数の増加などによる収入の確保、さらには経費の削減策を実施し、競輪事業経営の安定化を図ろうとするもので、平成21年度以降、起債償還元金返済のピークを迎える平成24年度以外、単年度総収支は黒字になると見込む計画になっている。
歳出削減につながる取り組みについては、業務内容の見直し、ファン用駐車場の整理、また自動発払機移設に伴う従業員経費の削減等、その効果に期待をするが、売上振興策については、場外販売日数の拡充、新かけ式の導入等において一定の効果はあると考えるものの、景気は悪化の一途をたどっており、見込まれる車券売り上げを達成するには大変厳しい状況にあると考える。次年度は収支改善計画の実質的な初年度に当たるが、払戻金控除後の金額の大半が選手の賞金、また競輪振興法人への交付金等に充てられてしまう制度を鑑みると、施行者独自の経営努力だけで累積赤字を解消し、競輪事業開設の主たる目的である一般会計への繰り出しを行っていくことは極めて困難であると考える。
平成21年度予算の編成に先立ち通知された総務省自治財政局財政課長内款においては、「公営競技は依然として経営状況は悪化し、収益率が低下するなど、極めて厳しい状況にあることから、各施行団体にあっては、魅力の向上による売り上げの増加を図り、開催経費の削減等による経営の合理化を徹底するほか、必要に応じ、今後の事業のあり方についても検討を行うこと」としています。
また、包括外部委託の導入等により、累積約3億円の赤字から黒字経営に回復された岸和田競輪においても、廃止になった場合を前提にして必要となる基金を積み立てられ、競輪事業を対象とした他都市の包括外部監査報告書においても、今後の方向性として、廃止した場合の影響を明確にすることとの記述が見てとれる。
大津市においても、競輪事業廃止に要する費用のほか、地域社会、また雇用に与える影響を想定できる範囲で検討され、背水の陣で収支経営改善に取り組まれようとしていることを広く市民に知っていただく必要があると考えるが、本市の見解を問う。
昨年の2月末、特別競輪等運営委員会は、平成21年度の高松宮記念杯競輪の開催施行者の決定に際し、特別競輪運営要綱にある不適格要件に該当するとして、大津市に対して収支改善計画の提出を附帯条件として求めた。営業収支の赤字や売り上げの大幅な減少が見られるなど、経営が不安定であることがその理由であったが、形式収支の赤字が恒常化し、繰上げ充用金額が年々増え続けている状況は、会計年度独立の原則からしても経営は不安定であり、また一般会計への繰り出しが本来の主な開催目的であることを鑑みれば、事業を「続ける」、「続けない」の議論があっても当然であり、そのために必要な情報は広く市民に共有されるべきだと考える。
ちなみに、現在予測をされている平成20年度の競輪事業の赤字額は、収支改善計画に記された金額と相当な開きがある。もし仮にこの計画自身が達成困難であると明確になった場合、事業撤退に関して何らかの判断を下されるつもりなのか、あわせて見解を問う。
答弁:産業観光部長 |
競輪事業廃止に要する費用については、起債の償還等の債務については掌握できるが、例えば賃借している駐車場用地について、原状回復してお返しするのか、スタンド、バンク等の競輪場施設を解体除却するのか等、話し合いをしなければならない不確定な要素が多々あり、直ちにすべての費用を算定することは困難な状況にあるが、今後掌握する必要があると考えている。
また、事業を廃止することにより、臨時従事員、警備員、清掃員、車券発売システムの保守要員などの雇用の場の喪失、さらには飲食や公共交通機関など、いわゆる地域経済への波及、そして娯楽の場の喪失など、さまざまな影響が想定される。このため、事業を存続させるよう、平成20年11月に来年度から平成23年度を期間とする大津市競輪事業収支改善計画を策定し、当該計画実行に向けた取り組みを進めていくものである。平成21年度は、収支改善計画の第1年度として重要な年と位置づけ、収支改善に向け、新かけ式の本格導入や場外発売日数の増加確保により収入を確保するとともに、経費の削減策を確実に実行し、収支改善に努めていく。
次に、経営状況を広く市民に周知することについてであるが、収支改善計画の概要については、既にマスコミ等を通じて報道されているところである。また、市議会に設置されている競輪事業調査特別委員会においても、事業の全般にわたり議論をいただき、その活動内容をホームページ等にて市民の皆さんに広くお知らせいただいている。
再問 |
検討の必要性は認めるとのことだが、答弁の幅が広い。相手のあることであり、内容も理解できるが、実際、終息に向かおうと思ったときに、どれだけの金額を要するのかが全く分からない。
都市計画公園に決定されている等の要因があり、当然、滋賀県や中央との協議が必要になってくると思うが、いろんな条件を想定してでも「マックスこれぐらいかかる」、「かからなかった場合はこの範囲でおさまる」ということをしっかり伝えないといけないし、いざやめようとした場合、大津市から何らかの負担が必要になってくると思うが、そうなった場合、財政指標が急激に悪化するおそれもある。 やめる時にはそれだけの影響があることを市民の皆さんに分かりやすく伝える必要があり、そういうことも鑑みながら、収支改善計画に取り組んでいることを知っていただきたいと思っている。
特別委員会に所属しており、この間の取り組みについてはいろいろ伺っている。特に、用地や雇用の折衝は非常にデリケートなものであり、本市の財政状況も説明されながら前向きに取組まれていることを高く評価しているが、今後、その必要性を感じているのであれば、どういった形であれば検討できるのか。
答弁:産業観光部長 |
この状況については、新聞報道等で既に出ており、また議会の特別委員会のやりとりについても、ホームページで周知されているが、まだまだ十分でない部分があるかも分からず、そういったものについては、いずれかのところでしっかりとしていく必要があると思っている。
それからもう一つ、しっかりと検討すべきではないかということについても、これは当面は収支改善計画に基づき、それが計画倒れにならないようにまず取り組みをしていくわけですが、いずれかのところでしっかりとしなくてはいけないと考えている。