登壇
3月5日、下記5項目について質疑一般質問を行いました。質問内容及び答弁内容を要約して掲載いたします。正式な議事録ではございませんのであらかじめご承知おきを願います。
〇ユネスコ創造都市ネットワーク事業への加盟に向けた取り組みについて
1点目、創造都市ネットワーク日本への加盟について。大津市は令和7年度から10年度までを計画期間とする大津市総合計画第3期実行計画において、文化・芸術活動の推進を施策として掲げており、文化・芸術活動を通して、市民の心の豊かさと地域への愛着や誇りを育み、まちのにぎわいにつなげることを目指すこと、また、大河ドラマ「光る君へ」の放映を契機に、注目を集めた源氏物語等の文学をレガシーとして、本市の文化振興につなげることを目標としています。短歌を始めとする文学に親しむ機会の提供や古典文学に関わる取り組みに対する支援に注力する方針もあわせて示されており、新年度予算においては、おおつ文学フェスタや源氏物語入門講座の開催に係る費用が新たな事業費として計上されています。
また、文化振興事業費として「文学のまち大津」ブランディング強化事業協議会運営経費と令和8年度までの債務負担行為として、ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟を目指すための予算が計上されています。ユネスコ創造都市ネットワークとは、創造性を核とした都市間の国際的な連携によって、地域の創造産業の発展を図り、都市の持続可能な開発を目指すネットワークであり、各都市は同ネットワークを活用し、知識・経験の交流、人材育成、プログラム協力を行っておられます。同ネットワークは8つの創造的な分野(文学、映画、音楽、デザイン、食文化、メディアアート、クラフト&フォークアート、建築)を対象としており、日本国内ではこれまで11都市が認定されています。大津市が目指す文学分野での加盟は、令和5年10月に岡山市が初めて認定を受けてられており、令和8年2月には同分野における国際会議の開催を予定されています。
文化庁においては、文化芸術の持つ創造性を地域振興、観光・産業振興等に領域横断的に活用し、地域課題の解決に取り組む地方自治体を「文化芸術創造都市」と位置付けており、地方自治体や公益法人等によって構築されている創造都市ネットワーク日本を通じて支援が行われています。令和6年12月18日の時点で127の自治体が加盟されており、ユネスコ創造都市ネットワークに加盟している都市はすべて、創造都市ネットワーク日本にも参加されています。ちなみに、現在、事務局が置かれている高松市においては、「音楽が彩るまち 創造都市 高松」を世界へ発信し、音楽を中心としてより一層、創造都市を推進するため、ユネスコ創造都市ネットワークへの音楽分野での加盟を目指しておられます。
また、創造都市ネットワーク日本には、国際的にも先進的な文化芸術創造都市政策の研究や発信力強化を図ろうとする都市間の連携、交流、情報交換を目的として、東アジア文化都市やユネスコ創造都市ネットワーク等の国際的なネットワークの活用などを目指す国際ネットワーク部会が設置されています。令和7年1月には、丹波篠山市において、創造都市ネットワーク日本との連携強化を図るため、ユネスコ創造都市ネットワークに加盟している国内11都市の担当者ミーティングが同国際ネットワーク部会と同日同会場で開催されました。文部科学省に事務局が設置されている日本ユネスコ国内委員会おいても、文化・コミュニケーション小委員会にて、両ネットワークの連携促進について検討が行われてきたと認識しています。
創造都市ネットワーク日本については、国内の先進的な文化芸術政策を推進する自治体との交流が期待できること、また、創造都市政策に関連する調査研究等に参加し、先進的な取組の情報や新たな課題、ニーズなどを共有することができることなどがメリットとして紹介されており、滋賀県内においては、長浜市、草津市、守山市、甲賀市が参加されています。ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟申請に先立ち、まずもって、創造都市ネットワーク日本に参加されることを提言するものです。同ネットワークの活動に対する大津市の評価と参加に向けた今後の方針をお聞かせください。
2点目、庁内連携体制の構築について。文学分野でユネスコ創造都市ネットワークに加盟された岡山市においては、令和4年度に文学創造都市おかやま推進会議を設置されるとともに、岡山市教育委員会学校指導課・生涯学習課、岡山市市民協働局SDGs・ESD推進課、市民生活局文化振興課からなるユネスコ創造都市推進庁内連絡会議を立ち上げておられます。大津市においては「文学のまち大津」ブランディング強化事業協議会を設置される方針を示されていますが、ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟を目指すのであれば、全庁あげての取り組みが必要と考えます。庁内連携体制を構築することについて、見解を求めます。
3点目、地域の文化資源を生かした取り組みについて。大津市は総合計画第3期実行計画において、大河ドラマの放送を契機とした源氏物語等に対する関心の高まりを、本市ゆかりの様々な文学や歴史等にも広げ、郷土愛やまちのにぎわいにつなげていくため、地域の文化資源を生かした取り組みを進めていくことを方針として示しています。近江神宮は競技かるたの聖地として広く知られており、古典文学である小倉百人一首かるたはおよそ八百年の長きにわたり、多くの人に親しまれてきました。また、俳聖と称される松尾芭蕉は大津の風光をこよなく愛し、この地で多くの俳句を詠んでいます。大津市は「文学のまち大津」としてまちづくりを推進するにあたり、短歌や俳句の魅力を地域の文化資源としてどのように評価されているのでしょうか。
また、電車と青春21文字プロジェクトの主催、大津市の共催で開催されている京阪電車石山坂本線の駅数にちなんだ「青春21文字のメッセージ」はユネスコ創造都市ネットワークへの加盟を通じて、広く世界の皆様に知っていただきたい活動です。同プロジェクトへの評価とあわせて見解を求めます。
答弁:市民部長
1点目の創造都市ネットワーク日本の活動に対する本市の評価と参加に向けた今後の方針についてでありますが、創造都市ネットワーク日本は、地方自治体が取り組む先進的な文化芸術政策の研究や共有、地域の連携・協働を推進し、地方自治体などを支援されていることから、創造都市ネットワーク日本への加入を検討してまいります。
2点目の庁内連携体制の構築についてでありますが、市民部、産業観光部、教育委員会の関係所属から構成される庁内連絡組織を立ち上げ、情報共有や事業連携を図ってまいります。
3点目の地域の文化資源を生かした取り組みについてのうち、1つ目の短歌や俳句の魅力を地域の文化資源としてどのように評価しているかでありますが、百人一首や松尾芭蕉ゆかりの地である本市において、短歌や俳句は、地域においても様々な取り組みをされてきた貴重な文化資源であり、今後の取り組みでは、「文学のまち大津」を代表する文化資源のひとつとして生かしていくことが重要であると考えております。
2つ目の電車と青春21文字プロジェクトへの評価と見解についてでありますが、市民団体が自発的に開始された事業であり、ユネスコ創造都市ネットワーク加盟申請時に、取り組みのひとつとしていくことを検討してまいります。
〇工事監査で発注仕様及び施工区域の把握が不適正との指摘を受けた事案の根底にある課題と再発防止に向けた取り組みを効果的なものとするために必要な取り組みについて
令和6年度における大津市監査委員による工事監査において、予定価格が130万円を超えないため、地方自治法施行令第167条の2第1項第1号の規定により随意契約された工事において、発注仕様及び施工区域の把握が不適正な事案が確認されました。以下、令和6年度前期における監査結果から当該指摘部分を引用いたします。
発注仕様及び施工区域の把握が不適正な事案は、中学校体育館の雨漏りの発生に伴い、令和5年度に幾度か修繕が行われたが改善されなかったため、令和6年4月及び同年5月に施行された防水工事である。発注した担当課は、工事の施行箇所について、実際には、正確な施工区域の把握ができていなかった。
令和5年度の定期監査結果において、小・中学校における小額修繕工事の事務処理が不適正であった事案を指摘し、それに対して、令和6年5月28日付け大教委総第118号にて、教育長から必要な措置を講じた旨の通知があった。また、小・中学校における防水工事については、令和6年2月28日付け監査委員事務局長通知により、施工面積の出来高確認ができておらず、施工箇所の図面も作成されていないことを指摘しており、それに対して、令和6年3月19日付けで教育部長から改善内容の報告があった。
これらの通知及び報告において、小額修繕工事の管理台帳を改善することで確実な進捗管理を行うことを始め、必要な措置を講じるとされているが、本件防水工事を見る限り、機能していないといわざるを得ない。なお、本件防水工事の施行期間の前後である令和6年4月から同年6月までにかけて、今回の工事監査対象の体育館の雨漏りに関して約30万円の修繕が5件実施されているが、これらは修繕料ではなく工事請負費で支出すべき事案である。
さらに、小額修繕工事の管理台帳が早期に改善されていれば、本件以外に発注された修繕工事の施行区域や工事の内容が整理でき、より効率的な工事発注が可能であった。
引用は以上となります。
当該体育館には金属屋根が葺かれています。素材の特性として、風雨や紫外線などにより経年劣化が進むと塗膜が色あせ、適切な時期に再塗装されないと錆が発生し、放置を続けると腐食が進んで防水機能が損なわれることになります。屋根材の耐用年数を踏まえ、適正に維持管理が行われてこなかったことが雨漏りに至った根本の原因であると考えます。
大津市教育委員会は学校施設長寿命化計画を踏まえ、改修のあり方を検討されてきたと承知しています。その結果、令和7年度新年度予算において、体育館屋根改修工事に係る実施設計費用が計上されるに至りましたが、これまでの間、この先に予定される改修工事を視野に入れながら、あくまで応急的な対応として、迅速かつ安価に対策を講じることが求められていたと推察するものです。緊急性の高い修繕工事であり、この方針自体は否定されるべきものでありませんが、大津市監査委員から発注仕様及び施工区域の把握が不適正との指摘を受けるに至った大きな要因であったと考えます。
予定価格が130万円以下であり、随意契約により工事契約を行う際には、2者以上から見積書を徴取する必要がありますが、これとは別にあらかじめいずれかの事業者から参考見積書を徴取されることがあります。金抜き設計書の作成にあたって利用されると承知していますが、令和5年度財務監査において、小中学校における防水工事については、参考見積の徴取が特定の事業者に偏っていたとの指摘がなされています。
随意契約による小額工事や修繕の契約に係る事務執行については、大津市財務規則及び大津市契約規則、大津市財務会計事務の手引きや大津市小額工事(委託)の随意契約ガイドラインなどを遵守して行う必要があります。随意契約はあくまで契約方式の例外として行われるものであり、透明性と公平性を確保し、適正に契約手続きを行うには、見積合わせの公正な執行が不可欠となります。
また、参考見積書の提出を依頼した事業者から、随意契約が可能となる価格内での算出が作成の前提条件と受け取られる可能性があります。修繕工事においては、使用建材の種類や作業工程、施工箇所や区域は機能の回復に適したものなのか、予断なく精査する必要があると考えます。
大津市小額工事(委託)の随意契約ガイドラインにおいて、所属長は作為的に分割発注されていないかを確認する必要があり、正当な理由がなく、意図的に発注時期を分けて別案件とすることが禁止されています。また、徴取した全ての見積書に対して、やむを得ない工種を除き、一式計上せず、数量等明細が記載された見積書を徴取することが必須事項として定められています。
この度の事案においては、当該上限価格の範囲内での小額工事、また、総務部契約検査課への発注依頼が必要とならない価格での修繕では雨漏りはおさまらず、随意契約が幾度も繰り返される結果となりました。先に申し述べましたが、この先に予定される改修工事を視野に入れながら、迅速かつ安価に対策を講じることを優先されたことについては理解するものですが、工事監査で発注仕様及び施工区域の把握が不適正との指摘を受けるに至ったこと、そして、何より、今もって雨漏りがおさまっていないことを重く受け止めています。
大津市は工事監査で発注仕様及び施工区域の把握が不適正との指摘を受けた事案の根底にある課題をどの様に評価しておられるのでしょうか。見積合わせの公正な執行と参考見積書の内容を精査することの重要性についての見解を求めるとともに、大津市監査委員から指摘のあった徴取先が偏っているとの指摘に対する課題認識についても、あわせて見解を求めます。
また、大津市は令和6年11月より、これまで所属ごとに行ってきた市民センター、幼稚園・保育園、小中学校、合計134施設の維持管理に係る業務を包括マネジメント事業者に一括して委託しています。当該委託によって得られた知見や実績にいては、大津市が直接発注する施設の修繕工事に係る参考見積の徴取や見積合わせのさらなる適正化に活かすべきと考えます。これらに係るマニュアルを見直し、充実させることについて見解を求めます。
次に、大津市教育委員会に質問します。令和7年2月5日付で大津市教育委員会が講じた措置内容の公表が行われました。このなかで、「発注前に事前に業者と十分な協議を行い、施工箇所の図面を作成するなど、施工区域を正確に把握するとともに、完工後は図面と完工写真を突合することにより、施工区域が適正であることを確認する。また、完工届の決裁時には、副担当者も含め複数人で確認することを徹底する。」とされていますが、具体的にどのタイミングで何を目的として施工業者と協議を行うつもりなのか。そもそも、施工区域はどの様な検討と精査を経て決定されることになるのでしょうか見解を求めます。
この項の最後、監査委員に質問します。大津市監査委員は令和6年度前期監査結果において、「小額修繕工事の管理台帳が早期に改善されていれば、本件以外に発注された修繕工事の施行区域や工事の内容が整理でき、より効率的な工事発注が可能であった」と結論づけておられます。効率的な工事発注が行われていたとするならば、どのような効果が期待できたと考えておられるのでしょうか。「効率的」との言葉を用いられた理由と不適正な契約事務が継続して発生していることへの課題認識をあわせてお聞かせください。
答弁:総務部長
1点目の工事監査での指摘に対する課題についてでありますが、見積合わせの公正な執行のためには、発注前に担当者が工事内容を十分に把握したうえで参考見積書を徴取し、見積内訳を十分に精査することが重要であると認識しております。各所属において施工及び契約事務の適正化を図るため、職員向け研修会や小額工事の随意契約ガイドラインにおいて、具体的な事務手続きや注意点などを示しているところです。
見積書の徴取先の偏りに対する課題認識についてでありますが、業種によっては対象業者数が非常に少なく、地域条件を考慮しての業者選定が困難な場合があることは認識していますが、そのような場合であっても徴取先が特定の者に偏らないよう留意することとしています。
2点目のマニュアルの見直し、充実についてでありますが、今回の工事監査での指摘を課題として認識するとともに、小額工事の随意契約ガイドラインについて、より具体的で詳細な事案を明記するなど、職員がより適正に事務を執行できるよう内容の見直しに努めてまいります。
答弁:教育長
3点目の、大津市教育委員会が講じた措置内容についてのうち、具体的にどのタイミングで何を目的として施工業者と協議を行うつもりなのかについてでありますが、修繕や工事の対応としましては学校からの修繕依頼等を受けて、まずは現場状況の確認を行い、修繕等の対応が必要と判断した時点で、対応方針を決定することを目的に、専門業者と現場立会を行い、施工方法についての協議を行っております。その後、見積照合を行い、本市の技術専門職員による査定を経て、施工業者を決定するとともに、施工業者とは着工前には施工内容等を確認するための協議を行っております。
また、施工区域はどのような検討と精査を経て決定されることになるのかについてでありますが、学校の教育活動に支障が出ないように迅速かつ経済的・効果的という観点から検討を行い、専門業者の提案等も参考としつつ、施工内容や区域等を決定しております。その際、担当課での判断が難しい場合などは、必要に応じて本市の技術専門職員にも相談しております。
答弁:代表監査委員
4点目の令和6年度前期監査結果についてのうち、まず、効率的な工事発注が行われていたとするならば、どのような効果が期待できたと考えているかについてでありますが、早期に問題点が把握でき、体育館の雨漏りの調査結果に基づいて施工方法や施工範囲等が十分に検討され、適切に施工されることが期待できたと考えております。
次に、「効率的」との言葉を用いた理由についてでありますが、担当課において早期に問題点が把握され、そのことから見積照合による適正な費用算定、施工期間の短縮及び迅速な事務処理手続等が可能であったとの観点から、「効率的」という言葉を用いました。加えまして、「より適正な」という意味合いも含めております。
次に、不適正な契約事務が継続して発生していることへの課題認識についてでありますが、担当課において、財務会計事務等に関する職員の理解が不足していること、また、技術支援の手段がうまく活用できていない状況にあることなどが課題であると認識しております。
再質問
工事監査で発注仕様及び施工区域の把握が不適正との指摘を受けた事案の根底にある課題について。発注前に工事の内容をしっかりと把握する必要があるといった趣旨で答弁をいただいたものと理解いたしました。工事の内容を決定するにあたって、専門業者さんのアドバイスを受けられることを否定するものではありませんが、参考見積を徴収する前の段階で工事内容を把握する必要があるという趣旨で答弁をいただいたのか、時系列で見たときにそうではないのか、その点、もう少し詳しくお聞かせいただけないでしょうか。私、この度の質疑・一般質問をするにあたって、参考見積書を参考に金抜きの設計書を作成されていると承知をしているのですが、専門業者からの提案をしっかりと精査いただかないとだめだというふうに認識しています。今の指摘を踏まえてあらためて答弁を求めます。
答弁:総務部長
再度のご質問にお答えいたします。状況確認、参考見積書の徴取ということですけれども、まずは、工事内容を十分に把握した上で、担当者が、そこで参考見積を徴取するということでございます。そのあとに、その見積内訳を十分に精査するということが重要であるというふうであります。それに基づいて、工事の内容をもう一度精査、工事内容について、見積書と合致しているか、精査をして発注するということになるというふうに認識しております。
再々質問
工事の内容を十分に把握された上で、参考見積書を徴収する必要があるという答弁であったと理解させていただきました。建築の専門職でない職員の方が工事の内容を十分に把握されようと思いますと、専門職の方に相談に乗っていただいたり、また、事前に職員の方だけで現地の状況を確認していただいたりしないと、私は今、おっしゃっていただいた十分に把握はできないと考えております。その把握の後に参考見積書を徴取なされることが望ましい、本来のあり方を今、お示しいただいたものと承知はするのですが、では、どのような形で工事の内容を十分に把握できると考えておられるのでしょうか。建築課の職員の方々におかれましては、業務量の問題等からも、必要に応じて相談には乗っていただいているものの、こういったチェックについては非常にご苦労いただいているものと承知をしています。この点を踏まえて、あらためて答弁を求めます。
総務部長
再度のご質問にお答えいたします。工事内容の把握ということでございます。谷議員のご質問にありますように、工事内容の把握のみならず、財務規則でありますとか、契約規則、そして、少額工事の随意契約ガイドラインについてのご質問を今回いただきました。小額工事あるいは施設の修繕の執行に当たりましては、これらの規則でありますとか、ガイドラインにおいて定められた内容に基づいて、各所属で事務処理を行っているところでございます。そういった中でありますが、今回、先ほど代表監査委員の答弁にもありましたとおり、担当課において財務、会計事務等について、理解が不足しているという答弁、そしてあと、技術職員からの支援がうまく活用できていないという答弁もございました。
昨年度、令和5年度からでありますが、契約検査課と建築課と合同で職員研修会を開催しているところでございます。その中で、小額工事の随意契約ガイドラインに示しました事務手続きの内容を確認することはもちろんですけれども、担当者は現場の状況や工事施工内容をまずしっかりと把握し、工事の施工内容に疑問点等があれば、建築課に相談するということも併せて周知をしているところでございます。今後、職員研修会におきまして、随意契約のガイドラインはもちろんでありますけれども、ご質問のありました財務規則、また契約規則、そして、財務会計事務の手引きに記載している内容を盛り込むことによりましてですね、また今回の事案を課題として認識して、具体例を挙げるなどして、本研修会、また、ガイドラインの適正充実を図って、適正な事務の執行に努めてまいりたいというふうに考えております。
〇成年後見人等への送付先変更の一括受付について
大津市において、成年後見人等が送付先変更の手続きを行おうとした場合、「介護保険及び後期高齢者医療関連通知等送付先変更申請書」、「国民健康保険資格確認書等の送付先変更申請書」、「納税通知書等送付先申告書」などをそれぞれ必要に応じて提出する必要があります。なお、大津市においては電子申請での受付も行われており、水道、下水道、ガスの送付先変更手続きについては、大津市LINE公式アカウントを活用して行うことができます。
現在、奈良市においては、同市から送付される通知書等の宛先を成年後見人等へ変更する複数の手続を、一つの窓口でまとめて行うことができます。電子申請での受付を原則とされており、必要とする通知の種別を選ぶことができます。
大津市においても、送付先変更に起因する送付ミスを防ぐための取り組みについて検討を行い、大津市DX戦略のもと、成年後見人等への送付先変更の一括受付に取り組まれることを提言するものです。実施に向けての見解を求めます。
答弁:福祉部長
成年後見人等への送付先変更の一括受付についてでありますが、現在、送付先変更の手続きについては、業務の内容ごとに各所属の窓口等で行っていただいております。一方で、本市は市民が快適にサービスを受ける視点に立ってDXを進めており、送付先変更の届け出を電子申請等により一括で受け付けることは、申請者にとって1回の手続きで複数の手続きをまとめて登録することができ、市民サービスの向上につながるものと考えております。今後は、他都市の取組事例などを調査し、関係所属で議論を深めてまいります。
〇大津市ファミリーサポートセンター運営事業のさらなる活動充実に向けた取り組みについて
ファミリーサポートセンターとは、育児の援助を受けることを希望する保護者と援助を行うことを希望する人が会員となって、地域で子育てを支援する相互援助のための会員組織です。同センターが設立された平成13年以降、事業の管理運営については、大津市社会福祉協議会に委託されています。大津市ファミリーサポートセンター運営事業のさらなる活動充実を願い、以下、3点、提言を交えて質問を行います。
1点目、大津市が主体となったさらなる情報発信について。当該事業を対象とした令和6年度事務事業評価シートによると、令和5年度は前年度に比べ、全体の活動件数が1.3倍に増加し、特に保育施設までの送迎や保育施設利用前後の預かりが1.5倍に増加していると評価されています。引き続き、利用を求める方がそれぞれのニーズに合わせて制度を活用できるよう、特に、依頼も援助も行うことのできる「両方会員」での加入を促進し、将来的に持続可能な組織体制の構築を目指すとされています。会員数の増加を目指すのであれば、事業の管理運営を委託する大津市社会福祉協議会と連携を図りながら、大津市が主体となって活動状況等をもっと積極的にホームページ等で発信されるべきと考えます。今後の取り組み方針について見解を求めます。
2点目、大津市ファミリーサポートセンターLINE公式アカウントの開設について。ファミリーサポートセンターは全国に設置されており、大津市でいうところの「おねがい会員(依頼会員)」と「まかせて会員(援助会員)」、それぞれの会員が活動に関する連絡などをスマートフォンやタブレット端末などで行えるLINE公式アカウントを開設されている自治体が数多く存在します。その取り組みは様々ですが、開設によって研修の案内やセンターだよりの配信を効果的に行うことも可能となります。
大津市は昨年の3月、より良いサポートを検討するため、「おねがい会員」「どっちも会員」を対象にアンケートを実施されています。「ファミサポ通信」に回答用の二次元コードを掲載されたものの、残念ながら回答率は極めて低い結果となりました。LINE公式アカウントが開設された際には、アンケートに回答いただける方も増えるものと考えます。なお、当該アンケートにおいて、「ファミサポで担ってもらえると望ましいと思うサポート内容」に対する問いに対して、最も多かった回答は「子どもが病気の時のサポート」、そして、次に多かったのがまさに「サポート依頼等事務手続きのオンライン化」でした。
他の自治体における取り組み実績や昨年行われたアンケートの結果などを踏まえ、大津市ファミリーサポートセンターLINE公式アカウントを開設されることを提言するものです。大津市は大津市DX戦略において、既成概念の変革を伴うDXを全庁で推進するため、「利用者の視点に立って進めるDX」を基本姿勢として掲げています。今後の取り組み方針について見解を求めます。
3点目、配慮が必要な子育て家庭等へ利用支援の拡充を図ることについて。こども家庭庁は子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター)実施要綱を定め、ひとり親家庭、低所得者(生活保護世帯、市町村民税非課税世帯)、ダブルケア負担の世帯(育児と親等の介護を同時に行っている世帯)及び障害児、多胎児のいる家庭など、配慮が必要な子育て家庭等の利用を支援する制度を設けています。こども家庭庁が示す制度の活用を図り、配慮が必要な子育て家庭等へ利用支援の拡充を図ることについて、大津市の見解を求めます。
答弁:福祉部長
ファミリーサポートセンター運営事業のさらなる活動充実に向けた取組についてのうち、1点目の大津市が主体となった情報発信についてでありますが、会員数増加のためには、当該事業の理解促進が必要であると考えており、市ホームページにおいて、現在行っている事業の案内に加え、他都市の事例を参考にしながら、個人情報に配意した上で実際の活動状況を掲載するなど、情報発信の充実に取り組んでまいります。
2点目のLINE公式アカウントの開設についてでありますが、事務手続きのオンライン化については、本市としても市民の利便性が向上するという観点は認識しておりますが、会員登録時において対面による丁寧な聞き取りを重視していることや、導入に係る経費負担、個人情報の管理などの検討すべき課題があることから、まずは、LINEなどを活用した情報発信の実施に向けて、委託先と協議を進めてまいります。
3点目の配慮が必要な子育て家庭等へ利用支援の拡充を図ることについてでありますが、国庫補助を活用して、利用料の助成や、早朝、夜間等の受入れなど、支援を拡充していくことは、ひとり親家庭や低所得者など配慮が必要な子育て家庭の支援として重要な視点であると認識しております。なお、支援を拡充するうえでは、ひとり親家庭等の利用状況とニーズに対して、現状のまかせて会員数などの提供体制で対応が可能であるかどうかを見極めながら検討する必要があると考えております。
再質問
大津市ファミリーサポートセンターLINE公式アカウントの開設に関して。検討すべき課題があられるとの前提のもとで、まずは情報発信の充実に向けて取り組まれていかれるとの趣旨での答弁であったと理解いたしました。対面や電話等でやりとりをしていただくことはとても重要なことですし、DX化を進めていただいたことで、大きく損なわれることがあって、そのことが子どもたちの健全な育成、また、事業そのものに影響があってはならないと理解もさせていただきました。
その上でなんですが、初問の質問でも紹介させていただきましたが、大津市がとられたアンケート結果でもサポート依頼等、事務手続きのオンライン化を望まれるご意見は多かったというふうに承知をしております。初問の質問の中で、DX戦略、紹介させていただきました。利用者の視点に立って進めるDX、このことは非常に私も重要だと考えます。先ほど答弁を踏まえていただき、サポート依頼等の事務手続きをオンラインで行っていただくことを可能とされている他の自治体の状況であったり、また、今、お示しいただいた課題等をどの様に解決であったり、対応されているということを調査研究されることは重要ではと考えます。今、私が申し上げた点を踏まえ、あらためて答弁を求めます。
答弁:福祉部長
事務手続きをオンライン化することによりまして、市民の利便性向上と、また、可能性として、本事業の活性化にも効果があるということは認識しているところでございます。ただし、会員登録時の面談でありますとか、対面での対応が必要な部分を継続しながら、オンライン化を進めるにあたっての開発費用やその他、ランニングコストといった経費負担、また、システム導入する際の、本事業は、大津の場合は委託しておりますので、そういった連携に係る個人情報の管理等の課題とか、そういった面を、どのように工夫されているかとか、先にオンライン化を導入されている事例については、調査研究していきたいというふうに考えております。
〇本社機能移転促進助成金交付事業のあり方について
大津市は令和7年度当初予算案に本社機能移転促進助成金として、5,500万円を計上されました。当該助成金交付要綱において、建設型は5,000万円、賃貸型は500万円を上限額と設定されており、地域経済の活性化を図るとともに、市民生活の向上に資することを助成金の交付目的と定めています。
本社機能移転促進助成金交付事業については、今年度、昨年度と同額の予算が措置されましたが、現時点において事業者の認定には至っていません。令和6年度当初予算の審査時において、私は要因分析と効果検証を予断なく行い、その結果を令和6年度の取り組みに活かしていく必要があると申し述べましたが、これまでの間、どのような取り組みがなされてきたのでしょうか。課題認識とあわせて答弁を求めます。
また、本社機能の移転は企業にとって大変大きな決断です。年度を超えた継続した取り組みが必要になることについては理解するものですが、議会の承認を経て執行が認められた多額の予算が継続して活用されていないことを私は重く受け止めています。大津市本社機能移転促進助成金交付要綱は、令和5年4月1日から施行し、令和10年3月31日をもって失効すると附則で規定されています。その理由と今後の活動方針について、あらためて見解を求めます。
答弁:産業観光部長
本社機能移転促進助成金交付事業のあり方についてのうち、1点目のこれまでの取組と課題認識についてでありますが、本社機能移転を企業に決断していただくためには、助成制度の内容を丁寧に説明し、また、本市の立地環境の強みを粘り強く伝えることが重要であると認識しております。今年度は、比較的移転の可能性があると考えられる約500件の市外企業に対して、助成制度に関する資料を郵送し情報提供いたしました。
また、本市の立地環境の強みなどを掲載した大津市企業立地ガイドを作成し、企業訪問の際などに活用しております。さらに、東京で開催された近江ゆかりの会において、首都圏にある企業に対し、プレゼンテーションを実施するとともに、関係づくりにも努めてまいりました。これらの取組などにより、7件の具体的な問い合わせが寄せられているところです。
2点目の同助成金の交付要綱が令和10年3月31日までである理由と今後の活動方針についてでありますが、企業が本社機能の移転を検討するにあたっては数年単位の期間が必要と考えられることから、補助事業の終期を5年としております。今後の活動方針としては、市や県にゆかりがある企業はもとより、事業拡大やリスク分散を考える企業など、移転の可能性が高い企業の発掘や働きかけを強化し、本社機能の誘致を推進してまいります。
再質問
これまでの取り組みと課題認識について。粘り強くお伝えいただくことが重要であるとの認識をお示しいただきました。単年度で結果を出していただくことが困難な事業であるということは、私なりに理解はさせていただいているものの、課題認識をさらに深めていただいたうえで対応いただかないと、計上された予算、未執行が繰り返されるというのは、そもそもとして、望ましくないと考えます。その上で、初問でお伺いしました課題認識、もう少し詳しくお聞かせをいただけないでしょうか。
もう1点、今後の活動方針についてです。令和5年の段階で5年後を目途、目標に要綱を定められたことを踏まえてなんですが、状況を見極めながら対応されていかれる方針なのでしょうか。なぜ、そもそも5年なのかと思ったのです。その理由もあわせてお聞かせください。
産業観光部長
再度のご質問についてお答えいたします。まず、1つ目の本社機能を移転促進、助成金交付事業の活用が進まないその要因、課題についてでございますけども、様々な要因があると考えておりますが、主には、情報発信のターゲットが絞り込めてない、また、企業のタイミングと合致してない、さらには、本市における不動産、また、不動産情報を企業に紹介させていただく、そういった情報が不足しているということがあると考えております。特に情報発信につきましては、まだまだこの制度の存在自体をご存じない企業もあると考えております。そのため引き続き、インターネットであるとか、ダイレクトな資料の送付、また、多様な説明機会を活用し、プレゼンテーションすることなどにより、情報を発信してまいりたいと考えております。
次に、補助事業の終期を5年にすることについての改めての見解でございますけれども、先ほど谷議員からのご質問の中にもありました通り、企業が本社機能を移転されるということは、長期的な検討が必要であり、また決断には、経営者等の覚悟も必要だと思います。本市としては、今後の社会経済情勢などの見通しも持ちながら、状況に応じた柔軟な対応に努めてまいりたいと考えております。