市内保育園・こども園における保育体制のさらなる充実を図るための取り組みについて( R6. 6)
質問
大津市長は令和6年5月15日に開催された令和6年市議会定例会招集会議において、本年4月1日時点における待機児童数が184人であったことを公表されました。就学前の児童数は減少する一方で、入所申込者数は昨年度から285人増加したことのことであり、新型コロナウイルス感染症による利用控えが収まったことや女性の就業率が上昇傾向にあることなどを増加の要因とされています。現在、大津市内においては、ターミナル駅周辺に位置する商業系用途地域おいて大型マンションのさらなる建設が見込まれており、こうしたエリアにおいては、保育需要の一層の高まりが想定されます。市内保育園・こども園における保育体制のさらなる充実は大津市における喫緊の課題と考え、以下、3点質問を行います。
1点目、公立園における保育士正規職員数の増員に向けた取り組みについて。この項の質疑・一般質問を行うにあたり、令和2年度から令和6年度までの5年間を対象として、4月1日時点における大津市公立園の入所園児数と保育士数の割合について調査を行いました。令和2年度においては、定員1,570人に対して、入所園児数は1,285人、保育士数は255人、入所率は81.8%でした。入所率については、令和3年度78.4%、令和4年度は70.8%、令和5年度は67.4%であり、令和6年度においては、定員1,530人に対して、入所園児数は959人、保育士数は225人、入所率は62.7%でした。実数だけで評価すると、保育士数は30人減少し、入所率は19%低下しています。
これまでの間、限られた人員体制のなか、発達や年齢の特性を踏まえた保育の充実に取り組まれてきたことを高く評価するものですが、令和6年3月に策定された「おおつ障害者プラン」において、子どもの育ちに応じた支援の充実を図るための基本施策として掲げられている障害等の早期発見・早期対応、療育・発達支援体制の充実、乳幼児期における保育の充実を図るためにも、公立園に勤務される保育士正規職員の更なる増員は喫緊の課題と考えます。大津市における募集・採用の推移を振り返ると、平成30年(令和元年度採用)は募集人数8人程度で採用人数は8人、令和元年(令和2年度採用)は募集人数「若干名」で採用人数は1人、令和2年(令和3年度採用)は募集人数17人程度で採用人数は14人、令和3年(令和4年度採用)は募集人数19人程度で採用人数は19人、令和4年(令和5年度採用)は募集人数13人程度で採用人数は13人、令和5年(令和6年度採用)は募集人数16人程度で採用人数は11人でした。
大津市は今年度の保育士正規職員採用試験においては、基礎能力検査(SPI)を除外し、面接回数を削減したうえ、最終合格発表時期についてもこれまでの10月下旬から8月下旬に前倒しされることになりました。そのうえで、令和7年度に採用を予定する保育士正規職員の募集人数を29人程度とされています。急激に増加した待機児童の解消はもとより、子どもの育ちに応じた支援の充実を図るためにも、公立園に勤務される保育士正規職員のさらなる増員が望まれます。採用試験制度の見直しが功を奏し、募集人数に見合った採用が実現することに期待するものですが、次年度以降においても、中長期的な視点で増員に向けた取り組みを継続していく必要があると考えます。大津市は次年度以降の採用計画をどの様な方針のもとで策定していくつもりなのか、見解を求めます。
2点目、保育の魅力発信に向けた今後の取り組みについて。大津市は中高生向け、大学生向けに作成された「大津市 保育士のお仕事 魅力発信BOOK」をホームページに掲載しています。市内の保育施設に勤務されている職員へのインタビュー記事や思い出のエピソード等が写真やイラストと共に掲載されており、大変親しみやすい紙面となっています。しかしながら、保育士を目指せるとして紹介されている大学、短期大学、専門学校の一覧には、学生の募集停止を決定されている学校が含まれており、大津市所管課の名称も更新されていません。また、大津市YouTubeチャンネルにおいて、『「保育士ってヒーローだ」大津市保育士インタビュー動画』が配信されています。保育の仕事に関心を持たれている、多くの皆様にご視聴いただきたいと願うものですが、大津市ホームページのうち、保育の魅力を紹介するページからは、これらの動画を視聴することができず、新たな配信も5年以上に渡って行われていないのが現状です。
大津市は保育の魅力発信に係る現状と課題を踏まえ、今後、どの様な方針のもとで取り組みを進めていくつもりなのか。学生以外の幅広い年齢層にも保育の魅力を効果的に発信し、保育の仕事から離れておられる、いわゆる「潜在保育士」と呼ばれる方々にも関心を持っていたくことも重要と考え、見解を求めます。
3点目、民間園と連携して取り組む保育体制の充実に向けた取り組みについて。令和6年5月11日から6月1日にかけて計4回、大津市、草津市、近江八幡市、彦根市の会場にて、「2024年 滋賀の公立・私立 保育のしごと 就職フェア」が開催されました。滋賀県保育士・支援センター、一般社団法人 滋賀県保育協議会、滋賀県、大津市の主催による事業であり、大津市内の会場には高島市と本市に所在する29の民間保育園・こども園がブースを出展されました。当日の来場者は90人程度であったと承知しています。
隣接する草津市においては同市の主催にて、「保育士トライアル研修」を実施されています。本年6月29日に開催される研修会場においては、各園の特色紹介や保育の魅力発信の他、先輩保育士と一緒に取り組むワークショップの開催が予定されており、YouTubeくさつ チャンネルでは、保育施設を紹介する動画が配信されています。奨学金返済支援、定着応援支援金など、草津市で働く保育士を応援する支援制度を活用するための相談コーナーも設けられるとのことであり、こうした取り組みは大津市においても参考にされるべきと考えます。
大津市はこれまで取り組んできた民間園を対象とした保育職員採用支援の成果をどの様に評価され、さらなる支援の充実に取り組んでいかれるつもりなのか、見解を求めます。
答弁:総務部長
1点目の公立園における保育士正規職員数の増員に向けた取り組みについてでありますが、令和7年度採用から新たに採用試験の手法や採用スケジュールを見直すなど、受験しやすい環境を整え、受験者数が増えるよう努めており、採用予定者数も、昨年度より13名多い29名としているところです。採用計画につきましては、年度当初において、各部局からのヒアリング等に基づき、作成しており、次年度以降の保育士の採用計画についても、福祉部から、ヒアリングを行うとともに、当該年度末の退職見込者数等を踏まえて検討してまいります。
答弁:福祉部長
2点目の保育の魅力発信の現状と今後の取り組みについてでありますが、コロナ禍にて現場へのインタビューなどが困難な状態で情報更新ができておりませんでしたが、今後、情報の更新をしてまいりたいと考えております。
また、議員お述べのとおり、潜在保育士への働きかけについては重要だと認識しており、引き続き滋賀県や滋賀県保育士・保育所支援センターと連携し取り組んでまいります。
次に、3点目の民間園と連携して取り組む保育体制の充実に向けた取り組みについてでありますが、平成30年度に作成した「保育士のお仕事魅力発信ブック」は、民間園と連携しながら作成したもので、大津市での保育の魅力の発信に一定の効果があったと考えております。また、例年、春と秋の年2回実施している就職フェアに、公立園と民間園がともに出展しており、保育士確保につながっているものと考えております。一方で、保育士の確保は、全国的な課題であり、保育士確保策について様々な観点から検討を進めてまいります。
再質問
保育の魅力発信に向けた今後の取り組みについてです。潜在保育士と呼ばれる方々に対しても関係団体と連携を図っていただきながら魅力の発信に取り組んでいかれるという趣旨で答弁をいただきました。現時点でお考えがあれば、もう少し詳しく方向性などについてお聞かせいただけないでしょうか。
答弁:福祉部長
先ほど初問で答弁いたしました通り、情報の更新がちょっとできていなかったという課題がございますので、やはり情報はアクセスのしやすさや興味を持っていただく内容とか、また、正確さ、新鮮などが重要と考えております。従いまして、まずは市のホームページの方ですね、例えば介護人材確保対策室が昨年度、作成いたしましたような総合的なサイトですね、そういった形でリニューアルできるような形で検討していきたいと思っております。また、これまで作成した資料等も新たな情報にて、更新を民間園とも連携しながら進めていきたいなと考えております。