内部統制の構築とさらなる推進に向けた取り組みについて( R5. 12)

質問

大津市においては事務処理の誤りが相次いで発生しています。障害福祉サービス受給者証発送時の誤送付、小学校新1年生の学校給食費4月分の徴収誤り、国民健康保険高額療養費の算定誤りによる過大支給、介護保険料の賦課更正に係る遡及期間の誤り、物価高騰対策緊急支援給付金における誤送付など。これらはすべて、大津市議会が今年度になって報告を受けた不適切な事務処理事案です。それぞれの所管課において、再発防止策に取り組まれていると承知をしておりますが、不適切な事務処理は市民の信頼を損ねる行為です。
 
令和37月、大津市長は不祥事や事務処理の誤りが相次いだことを受け、大津市役所の仕事力「非常事態」宣言と題したメッセージを職員の皆さんに発出されました。同月に開催されたコンプライアンス推進会議において、大津市の仕事力は非常事態というべき深刻な状況だとの主旨で発言されたと認識していますが、今もってその状況に変わりはないと評価するものです。形骸化した仕組みや取り組みについては適宜、検証を重ねながら見直していく必要があります。内部統制の実効性と有効性を高めることはもとより、市民に対する説明責任を果たすことが重要と考え、以下、指摘・提言とあわせて質問を行います。
 
1
点目、コンプライアンスチェックシートの活用実態について。大津市では平成244月に「大津市職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例」が施行され、当該条例を具現化していく基本的な取組として、平成253月に「大津市コンプライアンス推進指針」を策定しました。職員等の職務の執行に係る基本姿勢の堅持と社会環境の変革に対応する行政組織の醸成が柱として掲げられており、それぞれ、取り組むべき具体的方策が定められています。当該指針には、「コンプライアンスチェックシート」が添付されています。日常における振り返りでの活用を想定されているようですが、行動指針に基づくチェック項目に評価基準が見合っていないものが多分に含まれていると考えます。
 
現時点において、コンプライアンスチェックシートは会計年度任用職員を含む全ての職員を対象とし、大津市における内部統制の構築と推進に資するものとして、効果的に活用されているのでしょうか。取り組みが形骸化しているのであれば、あり方そのものを見直すべきと指摘するものです。コンプライアンスチェックシートの活用実態に対する評価と見直しの必要性について、見解を求めます。
 
リンク:大津市ホームページ コンプライアンスの推進について
 
2
点目、事務処理ミス等の定期的な公表と大津市内部統制の構築に関する指針の見直しについて。平成263月、大津市は職員及び所属が内部統制の必要性を認識し、着実に取り組むことで、市民から信頼される大津市役所の実現を目指すことを目的として、「大津市内部統制の構築に関する指針」を策定しました。リスク管理に重点的に取り組むことで、内部統制の構築を推進していくことが示されており、着眼点として、所属におけるリスクはどのようなものがあるのか、洗い出すためには、過去の事例、他都市の事例や日常の職務を通じて気付くこと、感性が大事であり、誰にでもわかるリスクではなく、特に潜在化したリスクをいかに発見できるかがポイントであると明記されています。
 
このことを踏まえ、内部統制の構築とさらなる推進を図る観点から、本市で発生した事務処理ミス等の状況について、定期的に一覧にして本市ホームページで公表することを提言します。令和5年度から公表を開始された兵庫県川西市においては、職員の事務処理ミスなどの事案について、適切に対応・公表することにより、市の説明責任を果たし、市民の市に対する信頼を高めるため、原則、事務処理ミス等の対応状況を全て公表する方針を示されています。個人情報漏洩の有無や再発防止策についても明記されており、内部統制の推進に寄与するものと考えます。現在、県内外、多くの地方自治体において、同様の取り組みが行われています。大津市においても事務処理ミス等の再発防止、さらには発生の未然防止につなげることを目指し、事務処理ミス等の定期的な公表を継続して実施されることについて、見解を求めます。
 
リンク:川西市ホームページ 事務処理ミス等の対応状況の公表
 
また、大津市内部統制の構築に関する指針は平成263月に策定されて以降、令和34月に改定が行われましたが、コンプライアンス推進室から行政管理室への組織名変更に伴う修正に特化したものでした。策定されてから10年近くが経過しようとしていますが、これまでの取り組みで明らかになった課題や成果を踏まえ、見直しを図るべきと考えます。内部統制構築に関する当面の運用スケジュールについては、掲載されている取り組みの時期が平成26年当時のものであり、現時点で必要のない情報です。また、地方公共団体を取り巻くリスク一覧についても、内部統制を取り巻く環境の変化や大津市において過去に発生した事務処理誤りなどを踏まえ、掲載内容をあらためて精査すべきでないでしょうか。改定に向けた今後の取り組み方針について、見解を求めます。
 
リンク:大津市ホームページ 内部統制の構築に関する指針について  

 

3点目、地方自治法に基づく内部統制制度の導入に向けた取り組みについて。平成313月、総務省は地方自治法に基づく技術的助言として、内部統制制度を導入及び実施する際に参考となる基本的な枠組みや要点等を示した「地方公共団体における内部統制制度の導入・実施ガイドライン」を策定しました。内部統制基本方針を策定した市長は、内部統制の整備状況及び運用状況について評価を行い、内部統制評価報告書を作成し、監査委員の審査に付すことが求められます。また、監査委員の意見が付された内部統制評価報告書は議会に提出され、内部統制に関する方針と同様、広く住民に対して公表されることになります。
 
現在、同省には、「内部統制制度の運用上の課題に関する研究会」が設置されており、当該ガイドラインの見直しに向けて検討が進められています。令和24月には、地方公共団体等における適正な事務処理等の確保並びに組織及び運営の合理化を図る「地方自治法等の一部を改正する法律」が施行されました。内部統制制度の導入が義務付けられたのは、都道府県及び政令指定都市であるものの、大津市と同じ中核市でありながら、地方自治法第150条第2項に基づき内部統制基本方針を策定され、内部統制評価報告書を公表されている市が既に数多く存在します。
 
リンク:総務省ホームページ 内部統制制度の運用上の課題に関する研究会
 
令和410月、総務省自治行政局行政課は地方公共団体における内部統制制度に係る調査結果を公表しました。大津市は地方自治法に基づく内部統制制度について、「県や他都市の状況を注視しているが、本市独自の内部統制制度を設け運用しているため、自治法に基づく内部統制制度の導入について、具体的なスケジュールは立てていない」との見解を示されており、そのうえで、「大津市内部統制の構築に関する指針に基づき、所属においてリスク点検シートを作成し、日常的にリスク管理を行っている。リスク管理に関する評価は行っていないが、年に一度、他所属の職員がモニタリングを実施し、点検を行っている」と回答されています。
 
事務処理誤りが相次いで発生している現状に鑑み、地方自治法に基づき内部統制基本方針を策定し、内部統制評価報告書を作成する他の自治体の取り組みについて検証を行い、本市における内部統制制度のあり方について、あらためて方針を明確にされるべきと提言するものです。総務省からの照会に対して、県や他都市の状況を注視していると回答されていますが、現状に対して強い危機感を持ちながら、検討を加速させるべきと考えます。内部統制の構築とさらなる推進に向けた今後の取り組み方針について、見解を求めます。

 

答弁:総務部長 

1点目のコンプライアンスチェックシートの活用実態についてですが、コンプライアンスチェックシートは、日常的な振り返りにおいて活用するほか、毎年7月に実施しているコンプライアンス推進月間において活用することとしていますが、効果的な取り組みに十分つながっていないと認識しているところです。このことから、コンプライアンスチェックシートに代わる効果的な取組の実施も含めて検討してまいります。
 
2点目の事務処理ミス等の定期的な公表と大津市内部統制の構築に関する指針の見直しについてのうち、1つ目の事務処理ミス等の定期的な公表についてですが、事務処理ミスが発生した場合は、「事務処理ミス等の報告及び公表に関する要領」に基づき報告及び公表するとともに、職員用ポータルサイトの掲示板において情報の共有を図っているところです。
 
2つ目の内部統制の構築に関する指針の改定に向けた今後の取組についてですが、内部統制の構築に関する指針については、PDCAサイクルによるリスク管理を構築することにより、適正な事務の執行及びリスク管理意識の向上に一定の効果があったものと考えておりますが、策定から10年近くが経過していることから、見直しについて検討してまいります。
 
3点目の地方自治法に基づく内部統制制度の導入に向けた取り組みについてですが、本市では、地方自治法に基づく内部統制制度が令和2年度に整備される以前の平成26年度から、内部統制の構築に関する指針に基づく独自の内部統制制度を構築し、運用しております。当面は、運用の改善を図りつつ本市独自の内部統制制度により、実効性のある内部統制制度の構築を推進してまいります。

 

再質問 

1点目、コンプライアンスチェックシートの活用実態に関してです。効果的に取り組めていなかったと振り返られ、そのあり方を検討していかれるとのことでした。新たなチェックシートを策定いただいて、同じように形骸化してしまっては意味がないと考えます。どのようなことに留意され、検討していかれるつもりなのか、あらためて答弁求めます。
 
2点目、事務処理ミス等の定期的な公表と大津市内部統制の構築に関する指針の見直しについてです。事務処理ミス等が発生した場合の対応要領に基づき、しかるべき手続きなりを取られているといった趣旨の答弁でした。職員用のポータルサイトで共用されているということでしたが、より分かりやすい形で市民と共有することが重要であると考えております。この点を踏まえて改めて答弁を求めます。
 
この細目、もう1点。指針が策定されてから10年近く経過しているので、一定見直しを検討していくといった趣旨の答弁でした。具体的にどういった点に留意をし、検討を行っていかれるつもりなのか、もう少し詳しく答弁を求めます。
 
最後、3点目、地方自治法に基づく内部統制制度の導入に向けた取り組みについてです。当面は現在の大津市独自の制度に基づき運用、改善を図っていかれるという趣旨で答弁いただいたと思うのですが、スケジュール感を持って取り組んでいただくべきと私は考え、指摘をさせていただきました。大津市が抱く危機意識を明確にしていただく上においても、私はこの点、重要かと考え、あらためて質問させていただきます。

 

答弁:総務部長

まず1点目、コンプライアンスチェックシートに関して、検討する上での留意点ということであったかと思います。現時点で具体的な内容は決まっていませんが、コンプライアンスチェックシートを作成するということが目的ではないというふうに考えてます。あくまでも、職員のコンプライアンスの意識を向上させて、市のコンプライアンスの体制を推進していくところ、そういったことが重要であると考えますので、そのことを念頭に、内容や活用方法を検討していきたい、そのように考えております。
 
2点目、事務処理ミスの公表、市民との共有ということでございました。これについても、先ほどの答弁とかぶる部分もあるかと思いますが、公表すること自体が目的ではないと思っています。大事なのは、再発防止こそが目的であると考えていますので、そのためには、まずは職員間の情報共有をしっかりとすることが重要であるというふうに考えますので、その方法については、改善を図っていきたいというふうに考えております。

 

3点目、指針の見直しの留意点ということでございます。谷議員からのご質問にあったように、平成26年度の当時のスケジュールが掲載されたままであったり、また、リスク一覧につきましても、国の研究会の報告書であるとか、ガイドラインから引用しているものの、実際に発生したリスク事案を反映したものになっていないという現状でありますので、こういった点の見直しから始めたいと考えております。

 

そして3点目。スケジュール感、危機意識ということでのご質問であったかと思います。これも繰り返しになりますけれども、内部統制というのは、導入をすることが目的ではないというふうに考えておりまして、あくまでも手段であって、各自治体の実情や特性に応じて、その体制の整備と運用を行うべきものと考えております。そして、検討時期ということでございますが、常に内部統制が構築していて、また内部統制が保たれているということは言うまでもございません。そして同時に、それが有効に機能しているかどうかということも、もちろんであるというふうに思っております。内部統制というのは、継続的に見直しを行いながら、構築していくものであるというふうに考えます。形式的かつ一時的な対応を図るのではなく、長期的な視点に立って、取り組んでいくことというのも重要であると考えます。そういった視点に立って、検討してまいりたいというふうに考えております。

 

再々質問

事務処理ミス等の定期的な公表に関してです。再発防止が目的ですという趣旨で答弁をいただきました。私は、合わせて、市民に対する説明責任をより果たしていただくことが、ひいては再発防止に繋がると考えております。この点を踏まえて、もう一度、答弁を求めます。

 

 答弁:総務部長

先ほど答弁で申し上げました、事務処理ミス等の報告及び関する要領、これは平成30年度に作成したところでございます。これについてはですね、本市で発生した事務処理の内部報告、そしてまた外部公表に関する基準を定めることによって、事務処理ミス等による影響の拡大の防止、それとあわせて、市政の透明性の確保を目的に作成したものでございます。この目的に沿って、今後もこの要領に基づき、公表してまいりたいというふうに考えております。 

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